アナログ放送を止めるために周波数オークションを - 池田信夫

2010年07月08日 00:28

2011年7月24日、アナログ放送の終了する予定の日まで、あと1年あまりとなった。NHKの調査によれば、現在の段階で地デジ対応テレビはケーブルなどを含めて約8000万台、世帯普及率は70%前後と推定される。全国にあるテレビの台数は1億3000万台なので、来年7月の段階でも3000万台以上、10%以上の世帯が取り残されたまま、電波が止められることになる。停波を延期せよという提言も出たが、なぜこんなことになったのだろうか。


『新・電波利権』にも書いたように、デジタル放送の始まる前から2011年という期限を切り、普及してもしなくてもアナログ放送を打ち切ると決めたのは、「アナアナ変換」に電波利用料1800億円を投入するための郵政省と大蔵省の取引の結果だった。携帯電話利用者の払った料金を放送局の赤字補填に使う、大蔵省でさえ難色を示した異常な利益供与のための措置だったのである。「電波の有効利用」というのは、そのとき大蔵省に対する言い訳に使っただけで、VHF帯の「跡地」を何に使うかはいまだに決まっていない。

では、最初に紹介した提言のように停波を延期すべきだろうか。私は、それは好ましくないと思う。停波を延期すると、跡地を使って行なわれる通信サービスが遅れ、電波の有効利用が阻害される。特に重要なのは、UHF帯に300MHz近い周波数があくことだ。アナログ放送は干渉に弱いので、周波数のあいている帯域も使えないが、地デジは干渉に強いので通信などに利用できる。これによる「デジタル化の配当」は、時価3兆円に達する。

アメリカでもデジタル放送の普及が進まず、最終的にはコンバーターのクーポンを国費で配るはめになった。日本でも、同じような措置は避けられない。FCCの場合には700MHz帯のオークションで200億ドル近い免許料が入ったので財源は問題なかったが、日本の場合は、ただでさえ財政が逼迫しているとき、500万世帯以上にチューナーを配る数百億円の予算をどうやって捻出するのだろうか。

私は、その予算を周波数オークションで捻出することを提案したい。700MHz帯やVHF帯をオークションにかければ、数千億円の免許料が入り、アナログ放送を「強制終了」するためのチューナーなどのコストにあてることができる。民主党は電波政策についてはかねてから改革の方針を出していたので、この機会にアナログ放送終了による「デジタル・デバイド」解消策として、オークションを導入してはどうだろうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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