孫の二乗の兵法 iPhoneアプリができるまで @sorahikaru

2010年09月25日 17:36

目的は、孫の二乗の兵法を心底身につけること。
企画は1日、制作は2日、開発は2週間、検証は1日、
アイデアから実現まで1ヶ月、孫の二乗の兵法アプリはこうしてできた。

これは昨日リリースされたばかりのソフトバンク孫正義社長の「孫の二乗の兵法」iPhoneアプリの開発話です。コンテンツのインパクトが半端ないだけに、あっという間に無料総合アプリ17位(教育カテゴリ2位、18時現在)に駆け上がってきました。トップ10に入るのは間違いないでしょう。(とブログをアップして見直したら8位!になってた。目指せ、1位)なぜ僕がこのアプリを作ったのか、理由は、今アゴラでも時々話題になる光の道や電子教科書、起業、これからの教育にも通じるものがあるからです。ここから先は長いので興味ある人だけどうぞ。


僕は、7月28日にソフトバンクアカデミアの開校式が行われるのをUStreamで見ていました。孫社長の経営に対する姿勢は、ソフトバンク社員時代に何度か会議で聞くことができましたが、これほどまとまって、明確に経営指針を話すことは稀なのではないかと思いました。開校当日の夜は残念ながら別の用事があり、すべてを見ることができず、後でUStreamのアーカイブで視聴しました。このビデオは孫社長自身が言うとおり、「会社の経営者、事業家というだけじゃなくて大学の学長でも、大統領でもみんな当てはまるリーダーシップ。リーダーが持つべき素養としての戦いに勝つための25文字」だという風に思います。

またこうも言っています。

~引用
(孫の二乗の兵法を)一回僕から話を聞いて理解した、納得したということで終わっちゃいけないと。そんな甘いものではないと。20年、30年、100年かけて心底腹のそこから理解できたと。実力が身についたと、実践ができたといって、初めて真のリーダーになれると。永遠のテーマだと。僕自身まだ実際に達成できてるという風には思っていない。満足してない。まだその途上だということであります。

このアカデミアでこれからずっとやっていくのは、この25文字の孫の二乗の兵法。これを色んな応用編で、色んなテーマで噛み砕いて、皆さんのプレゼンとか、皆さんのアイデア、議論、そういう中で活かして欲しいと。そして心底身につけて欲しいと。

~引用ここまで

一回聞いて理解した、納得したということで終わっちゃいけない、心底身につけて欲しい、という言葉に打たれ、これはiPhoneアプリにして常時持ち運んで、いつでもどこでも学べるようにしなければならないと思いました。人生で、経営で、何かに悩んだり迷ったり、行き詰まったりしたとき、きっと役に立つはずだと思いました。

こうしてさっそくiPhoneアプリの企画を始めたのでした。僕は今、iPhoneアプリの仕事をやっています。その中でもiPhoneアプリ開発エンジニアの育成もしていて、iPhoneアプリを作れるようになると、今まで想像もしていなかったクリエイティブな表現ができるようになることを知っています。アプリ開発って難しいと思っている人にも、こんなにカンタンにアプリが作れるんだってことを知ってもらいたいし、いろんな可能性にチャレンジしてほしいと思うのです。

■アプリ開発1 企画:画面イメージと機能リスト

孫の二乗の兵法アプリのコンセプトは明確でした。25文字を全面に出して、その文字の持つ意味を、孫正義の経営指針のメッセージのテキスト、音声、映像で提供するというシンプルなものです。企画書はMacのKeynote(パワポ)でさくっと作りました。こんな感じで数ページしかありません。

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次にEvernoteで企画からアプリの機能を抜き出して機能リストと要望リストとしてまとめました。Evernoteというのはクラウド型メモ帳で、これはあとから開発者と資料を共有するために便利なので使ってます。エンジニアは、Keynoteの画面イメージの企画書と、Evernoteに書かれた機能リストとその説明を見れば、ほとんど理解でき、アプリの完成系をイメージできます。

■アプリ開発2 コンテンツの編集

次に取りかかったのはコンテンツの制作です。コンテンツはUSTreamの動画と、その動画を元にテキストに書き起こした文章です。動画はUSTからぶっこぬいてMacのiMovieで各文字パートごとに一つずつ編集しました。文字を書き起こすのは大変なので、文字起こししているもじさんにTwitterで連絡を取って、その内容を使わせてもらいました。もじさんは快く了解してくれて多いに助かりました。(感謝)もじさんのまとめてくれた内容を元にプレゼンテーション資料と合わせて、兵法25字の各パートを一つずつまとめました。これもあとでエンジニアが見てすぐわかるようにEvernoteにひとつずつまとめました。

最後に音声コンテンツは動画ファイルから音声だけを抜き出して作りました。こうして、テキスト、音声、動画と一通りコンテンツが整いました。

■アプリ開発3 エンジニアを見つける

僕はアプリ開発のエンジニアではありませんので、エンジニアを見つけてコードを書いてもらわなければなりません。そこで自分たちが運営しているiPhoneアプリ開発スクールの卒業生にアプリ開発依頼のメールをしました。すでに600名以上の受講生がいますのでだれか一人くらい手を挙げてくれるだろうと思っていました。メールを投げた数時間後には高橋さんという卒業生から開発してもいいという返事が来て、数日後に最初で最後の打ち合わせを行いました。打ち合わせでは、すでに用意していた企画書と機能リストを見せて、だいたいの開発工数のイメージを掴んでもらい、開発できるかどうか、どのくらいの時間がかかるか、開発費用はどのくらいでやってくれるか、という話をして契約をまとめました。打ち合わせにかかった時間は1時間くらいです。このように自分から名乗り出て来てくれる人はモチベーションも高く、優秀な人が多いです。

■アプリ開発4 クラウドコンピューティングでローコストシステムを構築

iPhoneアプリを開発する上で、特に今回のような無料アプリを開発する上では、いかにローコストで開発しシステム運用をするかにかかっています。そこで複数のクラウドコンピューティングを活用しましたのでその手法を紹介します。

・エンジニアとのデータ共有:Evernote, Google Docs, DropBox, YouTube

 →エンジニアとの情報共有には前述している通り、EvenoteやGoogle クラウドを活用しました。我々が打ち合わせしたのは最初の1回切りなので、あとはほとんどエンジニアまかせです。必要なデータをこちらで用意して、それをクラウドで共有して使ってもらうということです。

・テキストデータ:Evernote
・音声データ:Google Docs
・動画データ:YouTube
・プログラム:DropBox

とすべてクラウドコンピューティングを使っています。このようにクラウドを駆使すれば、打ち合わせで双方会う必要もなく、自分の好きな時間にそのデータにアクセスして作業を進められます。またiPhoneアプリからデータにアクセスする際も、こちらで大規模なダウンロードサーバや配信サーバを用意しなくても、Googleがその大規模なインフラをほぼ無料に近い料金で提供してくれます。このようにクラウドを使えばアプリの運用コストもほぼ0に抑えられるのです。

■アプリ開発5 プロトタイプアプリの評価

高橋さんは10日ほどで最初のプロトタイプアプリを作ってくれました。最初にイメージが固まり、コンテンツデータもある程度揃っていればエンジニアはすぐにアプリを形にするものです。しかしここで重要なのはアプリの完成度を見るのではなく、最初の思い描いたアプリのイメージで何ができて、何ができないか判断することです。iPhoneアプリではユーザインターフェースが最も重要なので使い勝手や動きを重視します。

いくつか技術的な課題は出てきましたが、機能としてはほぼ実現できることはわかり、あとはいかにアプリの機能を実装し、ユーザに使いやすいインターフェースを実現するか、でした。ここは高橋さんがアイデアを出してくれて想像以上のUIにしてくれたり、コンテンツも手を入れてくれてアプリに最適化してくれました。アイコンもデザインも、専門のデザイナーを入れず僕と高橋さんのふたりで仕上げました。

■アプリ開発6 アプリ紹介サイトや細かい情報の整理

プロトタイプが出て来ると、高橋さんはアプリの完成度を高め、コンテンツをまとめていきます。ここで95%くらいまで完成度が高まるので、残りの5%の完成度をあげるために、アプリ紹介サイトを用意したり、何気ないコンテンツ情報の整理を行います。これらはエンジニアリングではなく、どちらかというとコンテンツ制作や編集作業にあたります。ここではGoogle Appsを使って、アプリ紹介サイトを制作しました。

こうしてできたのがアプリ紹介サイトです。
http://apps.rainbowapps.com/son

アプリを開発しはじめて3週間ほどで最終系に近いアプリが出来上がります。ここで最後もう一度高橋さんと顔を合わせて細かい修正の確認をします。これはメールでもできなくないですが、最後なので労いの意味も込めて会って詰めます。ここまでくるとあとはもうどれだけアプリをよいものにしてユーザに使ってもらえるか、だけです。リリース後どんな反響があるか想像しながら楽しみます。

そしてApp Storeに申請する前に、孫社長にこのアプリの意義の説明メールをして、公認をいただきました。

■アプリは創造力があればだれでも作れる!

こんな風に思い立ってから、1ヶ月も満たない期間で、ふたりでアプリを開発することができました。ふたりとも日常的にはそれぞれ別のちゃんとした仕事があり、このアプリは夜とか週末とか空いた時間に作っています。企画者である僕の思いは、一人でも多くの人が、この”孫の二乗の兵法”を身に付け、起業や経営、人生の指針にしてもらいたいという願いだけです。iPhoneがあるおかげで、この貴重な教えを持ち運びできるようになったのです。これも一種のデジタル教科書であり、スマートフォンやクラウドのもたらす新しい力なのです。みなさんも興味を持ったらぜひiPhoneアプリで無限にわき上がるアイデアを実現してください。

光の道は、昔の電気の初期の時代と同じで、仮に電気がすべての家庭に届いてたとしても使い道はせいぜい照明くらいしかなかったでしょう。しかし電気が通じたことによって、無限の電化製品のアイデアがこの100年で実現されていき、今の電気のある豊かな生活ができるようになりました。エジソンの時代に料理を電気で作るとは思っていなかったでしょう。さらに電気にまつわる電気工学の学問や関連する様々な産業が無限に生まれたことでしょう。今はクラウドコンピューティング時代です。クラウドの力を最大限に引き出そうとすれば、無線帯域では足らず、圧倒的な高速回線が必要になります。すべての人に必要ではないと思いますが、それが使える人が無限のアイデアを具現化していくことは間違いないでしょう。向こう50年もあれば今の私たちが想像もしていないようなアプリゲーションが無限に出てくるでしょう。ほんの少ししか帯域を使わないものもあれば、大容量の帯域を消費するものまで。

電子(デジタル)教科書ですが、僕は今の紙の教科書が単にデジタル化されるだけではまったく十分ではないと思っています。音声や映像が出るくらいのマルチメディア教科書になることにたいした意味はありません。それよりも世界的に確実に起こりえる知識の共有は、もっとすばらしいものです。このアプリのように世界中のだれかが自分の興味を持った事をもっとも最適な方法で世の中の人に伝えたり、教えたりするツールができたのです。算数や歴史、科学を学ぶのもその人のアイデアの数だけ無限にできるのです。重要なのは電子化された教科書が子どもたちに配布されることだけではなく、知識を持った大人たちがデジタル化のツール(クラウドとアプリ)でカンタンに電子教科書を作って配布することです。作る、教える、教わるがインターネットでつながったときに、ネットとソーシャルなウェブの力が最大限に生かされてくるでしょう。そしてそうした未来は確実に向かって来ているのです。

僕たちの子どもたちは誰かが決めた教科書を使うことなく、世界中のだれかが作った最も感性の豊かな教科書を使う選択肢が与えられたのです。僕たちはだれもがその教科書を作ることのできる時代にいるのです。

起業家 渡部薫 / 開発者 高橋雅雄

孫の二乗の兵法 iPhoneアプリ無料

最後に大いなる宣伝になるのですが(笑)、iPhoneアプリを作れるようになるとブログやSNS、Twitterにはない発信力を持つことができ、パワーポイントやワードなどでは到底表現することのできない創造力を持つことができます。これまでプログラム経験のない人(初心者)でもアプリを作ることができるようになります。もしiPhoneアプリ開発に興味を持った方がいればぜひRainbowAppsのiPhoneアプリ開発スクールをのぞいてみてください。見学も自由。600名以上の仲間が、iPhoneアプリ開発にチャレンジし、巣立って行ってます。

さあっ、iPhoneアプリを作ろう!
RainbowApps – 2ヶ月でiPhoneアプリを開発する講座

あとちょうどアゴラセミナーでもAndroid講座がありますのでこちらもどうぞ。
「パソコン1台で始めるAndroid入門講座」

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・著作権について
本アプリは孫正義公認アプリです。
本アプリはウェブで公開されている素材で制作されています。
本アプリに含まれる孫の二乗の兵法の音声、映像、画像(スライド)はソフトバンク株式会社また孫正義氏に帰属します。
本アプリの孫の二乗の兵法の文字起こしは、もじさんのご協力をいただきました。

本ブログはアプリのあとがきにあるものをベースにしています。

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