検索サービスと言論の多様性について議論を深めよう

2010年09月27日 10:04

Yahoo! Japanがグーグルの検索エンジンを利用して検索サービスを提供すると発表して2カ月が過ぎた。当初は話題になったが、すでに社会の関心は薄れたようだ。9月21日には競争法研究協会が緊急セミナーを開催したが、その模様はネット系メディアにさえ報道されなかった。

一方アメリカでは、連邦取引委員会が「デジタル時代の競争政策」について下院の司法委員会で証言するなど、制度設計に関する議論が深まりつつある。国産検索サービスがないに等しいわが国で「対岸の火事」扱いされているのと様子は大きく異なる。

そもそも民主主義の発展のためには健全なメディアが不可欠という認識の下、言論の多様性を確保するためにマスメディアにはさまざまな規制が掛けられてきた。一方、インターネットに対する規制はごくわずかで、実際、大勢の人々がブログなどを通じて自分の意見を自由に公表している。しかし、検索サービスで上位にリストされない限りその存在を誰も気づかないから、それらの意見の中で他人が閲覧するものは少ない。「グーグル八分」という言葉が生まれる所以である。


強い社会的影響力を持つ検索サービスにおける競争のあり方は、一過性ではなく、継続的に考えていくべき課題である。

旧来のマスメディアが垂直統合型のビジネスモデルだったのに対して、デジタル産業ではレイヤー分業によってビジネスが営まれている。基本ソフトウェア(OS)市場に象徴されるように、レイヤー内では独占あるいは寡占の状況が生まれる場合も多い。独占規制には「市場の画定」が必要だが、垂直統合型と違ってレイヤー型では容易なことではない。独占的に提供される検索サービスは、検索対象のコンテンツにどのような影響を与えるのだろうか。デジタル産業では主役がどんどん変わっていくので、市場の独占といってもその影響は一時的なものにとどまる可能性がある。これも旧来のマスメディアとは異なる特性である。

このようなデジタル市場の特性を考慮した上で独占規制の在り方を考える必要がある。そこで情報通信政策フォーラム(ICPF)では情報通信学会メディア集中に関する研究会と共催で「検索エンジンとメディア集中」と題するシンポジウムを9月30日に開催することにした。まだ余席があるので、多くの方々にぜひ参加していただきたい。

山田肇 - 東洋大学経済学部

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