「尖閣問題」を祝うー「弱腰外交」「口先右翼」の真髄を問う絶好の機会!

2010年10月01日 09:19

無駄を続けたい官僚と増税を拒む国民に突きつけられた財政危機。そこに振って沸いた尖閣問題は、永い春眠にまどろんでいた日本国民を目覚めさせる神からの贈り物だと言えましょう。


日本は、国民が愚痴を言えば「政府が親に代って御小費いを渡し、その反対給付として、国民の箸の上げ下ろしまで干渉する」独特の統治体系を作り上げました。その結果、自分の運命を自分で決める能力を失った日本国民は、何事につけ失敗を他人の所為にする悪習を身に着け、独立自尊からは程遠い国民になって仕舞いました。

又、「源氏・陸軍」内政派が権力を持ち続けた日本の政治は、外交問題を最も苦手として来ました。米国などの超大国は、国内事情を外交に持ち込む我侭が通りますが、日本の様な普通の国は、友好国を増やす目的で、時には国内事情を曲げても相手の立場を受け入れる度量が必要です。

国益より省益を優先する縦割り行政の弊害が、FTAを巡る日本政府の消極姿勢に表われ、多くの途上国の反感を買いました。看護士の受け入れでも、厳しい制限を設けたために、「閉鎖国家日本」と言う印象を海外諸国に残したのは残念です。

尖閣を巡っての中国の異常とも思えるしつこさは、同時期に示した米国への接近策との差を際立たせました。これは、鳩山前首相の無責任発言の連続で傷ついた日米関係の隙を狙い、日米のつながりの強さをテストし、場合によっては日米の離反を狙う巧みな中国外交に見えます。

伝統的に反中国感情の強いインドネシアやインドシナ諸国が、この問題を巡って沈黙を守るのも、FTA交渉で示した日本の利己的主張に対する無言の抗議にも思えます。そのような中で、殆どの国民が中国系であるシンガポールの有力紙が「中国のしつこさは何れ他国にも向う可能性がある危険な兆候だ」と警告した事が注目されます。

自分の名前を名乗る勇気もないくせに、反対論に罵詈雑言を浴びせる所謂「ネット右翼」について、社会学者の鈴木謙介氏は「これらの人々は、他人と一緒に『祭り』に参加しているだけで、一貫した政治的立場などというものは存在しない集団だと述べて折られます。要するに彼らの悪口雑言は「百家争鳴」の対象にも入らない雑音に過ぎないと言う事です。国民がこれ等の人々の煽動に乗るとしたら、それほど馬鹿げた事はありません。

自分が政権を担っていた時代に対米関係を悪化させ、その隙を中国に利用されたばかりでなく、自称「得意課目」のロシアまでが「対日戦勝の日」を設けて我が国を挑発し、大統領の北方領土初訪問を発表するなど、鳩山外交は失敗の連続でした。その鳩山が「私だったら恩家宝首相と直接話せた」等と、外国で同じ政党に属する自分の後任を批判するに至っては、余りにも異常です。如何に自己顕示欲が強いとは言え、この発言は許されません。

一方、民主党の岡田幹事長は、ご自身のブログで「今回の事案で、日本は法律に基づいてしっかりと判断をしていく。そして、そこに政治的な介入はしない」と明言されました。論理的で冷静なこの論議も、外交紛争で通ずるか如何か?難しい問題です。

「タルボット」紛争として名高い、1995年にカナダとEUとの間で勃発した大型カレーの漁獲権を巡っての紛争は、尖閣紛争と同様、排他的経済水域、領有権を巡る紛争でした。カナダ沿岸警備挺がスペインの漁民5名を逮捕し、漁船をカナダの港に曳航すると、それに反発したEU諸国が軍艦を出動させ、カナダ海軍と対峙する一触即発状態にまで発展しました。

この時も、双方がお互いの法律を盾に正当性を主張して論議になりましたが、法律論は問題解決には全く役立ちませんでした。

国際紛争の多くが、法律論よりも政治的な妥協で決着している事からも「国内法に基ずき政治的な介入はしない」と言う岡田幹事長の発言は、政治的決着を不潔と考える傾向の強い日本では、それはそれなりに受け入れられても、国際紛争の解決にはあまり通じない事も国民は知っておく必要があるでしょう。

大国になる必要は無い、「そこそこ国家」で良いと言う論議が若者の間で一定の人気を博し、他人(他国)には無関心な空気が強い日本の国民性は,無理をする必要がないと言う「身の丈外交論」を現実外交だと主張し、これに対し「口先右翼」は、現実外交をありとあらゆる罵詈雑言を動員して「弱腰外交・売国外交」だと非難します。

日本に必要なのは国民的論議であって、怒鳴り合うことではありません。「艱難汝を玉にす」の言葉でも判る通り、親が頼りないと子供は育つものです。「前門の虎、後門の狼」の内外の危機に面した現在、日本が弱い首相を頂く事もラッキーでした。今こそ、危機管理のあり方を国民的な規模で論議すべき時です。

事実さえ正確に知らされていれば、日本国民は難問解決の能力を備えた国民です。残念ながら、私には日本の難問解決の秘策はありません。然し、国民が何事も政府任せにする悪癖を捨てて、自ら国難のの解決に当る心構えさえ持てば、尖閣、竹島、北方領土など難問も処理して、明るく平和な未来を築けると確信しています。

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