IT規制改革専門調査会体験談(2)

2010年11月24日 01:20

前回のエントリーでご紹介したIT規制改革専門調査会(正式名称は「情報通信技術の利活用のための規制・制度改革に関わる専門調査会」)。これから3月まで月1回程度のペースで開催される予定だが、自分を含めた一般のビジネスパーソンにとっては政府の審議会というのはあまり接することがないと思われるので、何回かに渡って体験談を本ブログで共有していこうと思う。

本専門調査会で規制のあり方を議論する対象として、事務局より提示されたたたき台の46項目がこちら。ネット選挙や医薬品のネット販売といった国民の関心が高いテーマから、「航空機用火工品輸入手続きの電子化及び簡素化」といった特定の業種に限ったテーマまで、幅広い。初めて見たときは「レベル感がまったく違うものが並んでいるな」という感想を抱いた。これらについては、追って詳しく説明する。


そもそもこの専門調査会は、前身としては「デジタル利活用のための重点点検専門調査会」なる会議体があった。これは昨年7月に自民党政権下で発表された新しいIT戦略「i-Japan 2015」の中で掲げられている「今後一層の検討を行うべき事項」のうち、「デジタル技術の利活用を阻むような規制・制度・慣行等を抜本的に見直す」を検討する主体として設けられたのである。

第一回は2009年の8月末に開催され、政権交代が行われてからは10月に一度だけ開催されたが、それからは半年以上も開催されていなかった。半年ぶりに開催されたのは2010年3月のことだが、この時点で民主党政権は「政治主導」を実現するべく、IT戦略本部の運営を大きく変え、各省庁の副大臣クラスによって構成される「企画委員会」を中核に据えることとなった。直後に、デジタル専門調査会は閉会を迫られる。

それまではIT戦略本部の委員が中心となって(官僚がリードしながら)IT戦略を取りまとめていたはずなのだが、政治家からなる企画委員会はこの役割をIT戦略本部から事実上奪ってしまい、3月、4月と二度開催された企画委員会で「新しい情報通信技術戦略」を策定した(2010年5月発表)。IT戦略本部の面々はこの企画委員が策定したIT戦略を追認する形となった。

この新しいIT戦略については、自民党時代に作られた総花的なものとは異なり、三つの重点分野にフォーカスし、かつ詳細な工程表をも策定した点で評価すべき、という声もある。他方で、総務省が発表した「原口ビジョン」、経産省の「情報経済革新戦略」、民主党の情報通信議連による「情報通信八策」など、それらしいものが乱立していることや、結局は総務省、経産省に加えて、文科省、厚労省、国交省などがバランスよく並べられている、と指摘する識者もいる。

そしてこの新たなIT戦略(情報通信技術戦略)のなかにも「今後、企画委員会を中心に、行政刷新会議とも連携しつつ、情報通信技術の利活用を阻む既存の制度等の徹底的な洗い出しを行い、それらの抜本的な見直しを図るため、『情報通信利活用促進法(仮称)』を検討する」という記述があり、これに基づいて再度専門調査会が設けられることとなった。

企画委員会の議事録を読むと、専門調査会委員の人選については下記のように述べ、従来の(どちらかというと「大御所」中心の)専門調査会からは若返りを図りたかったという意志が見受けられる。そして我々若手の委員を選んだのも、おそらく津村前政務官といった若手政治家ではないかと推測される(ちなみに、議事録は政治家同士のやりとりがそのまま記載されているため、「政治主導」の実態を垣間見ることができて興味深い)。

「このリストは川端大臣と私(注:平岡内閣府副大臣(当時))、そして津村政務官のIT戦略担当の政務三役で作成したものでございます。人選の基準としては、ITの分野は日進月歩でありまして、また新しい戦略を実現していく方を選定していくという観点で、若い人を中心に加えて、男女や地域のバランスを考慮した候補としております。また、作成に当たりましては、常日頃からIT政策の推進について、関係府省と協力して業務を行っていく中で、関係府省からいただくさまざまな情報やアドバイスも人選の参考にさせていただきました。そういう意味では、各府省の活動に知見のある方も含まれているのではないかというふうに考えております。」
(第4回企画委員会、平成22年8月9日 議事録p.15)

以上を背景として、次回は第一回以降の専門調査会で実際にどのような議論がなされたのか、書いていきたい。

(つづく)

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岩瀬 大輔
ライフネット生命保険代表取締役社長

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