人口減少の問題解決は、人口減少が阻む - 村上たいき

2011年01月07日 16:44

多くの識者が説明するように人口問題(少子高齢化)は、財政問題であり、世代格差問題です。人口が減少しても、社会の仕組みがそれにちゃんと対応したら大きな問題にはなりません。ただ、人口が減少傾向にあること自体が、社会の変化をしにくくしています。


強引な単純化と承知して書きますが、単純なインセンティブだけ考えると、引退した高齢者にとっては、できるだけ年金が多く欲しく、労働者からはできるだけ多く搾取したい。労働者もいずれ引退して高齢者になるので、労働者でも年をとればとるほどこの傾向が強くなります。日本は民主主義なので多数決により物事を決めるため、高齢者が労働者より人数が多ければそういう傾向が強くなります。さらに、藤沢数希さんが指摘するように高齢者は投票率が高い。その上、1票が重い地域には高齢者が多いため、高齢者の一票は重くなります(そう考えると政治で票格差の解消も難しい)。

高齢者を減らすことは不可能ですが、子供を増やすことは物理的には可能です。ただこれから出生数はかなり下がると思われます。下図の出生数の推計(国立社会保障人口問題研究所)によると、現在の出生数は団塊ジュニアの遅めの出産に支えられており下げ止まっていますが、数年後から日本の出生数はかなり下がっていくきます。出生率を上げるには、子供と、子供を持つ親に福祉を厚くしてインセンティブを持たせるのが一番単純な解決方法ですが、高齢者への福祉を大幅に削る必要があるので日本人の主流(高齢者)には受け入れられないでしょう。お金のために子供を生むわけではないでしょうが、経済的な理由から心理的なバイアスがかかる可能性はあると思います。せめて「子どもを産むと“懲罰”が待っている日本」なんて言われない程度になると良いと思います。いずれにしろ人口問題を解決するほどの出生率というのは難しそうです。

taikimurakami
(出所:国立社会保障人口問題研究所)

出生数が上げれないのであれば、移民を受け入れるしかありません。しかし、藤沢数希さんが言うように福祉国家と移民の大量受け入れは、フリーライダー移民が増えるので、ななかなか両立できません。フリーライダー移民が来ないようにするには、高齢者のみ福祉を充実させ、若年層のみ移民を受け入れる案があります。これなら日本人の主流(高齢者)にも受け入れられるかもしれません。

もちろん高齢者の数的有利を維持するためには移民に選挙権を与えないほうが、高齢者に支持が得られます。ただ「高齢者の年金のために稼いでくれ」「選挙権はあげないよ」と言っても、まともな人材が移民として来てくれるかどうかは疑問ですね。また移民に文化的摩擦はつきものなのですが、高齢者は特にこれを嫌います。こうやって見てみると移民はなかなか難しそうです。

以上のように、人口減少の問題は、人口減少ゆえにその解決が難しいです。ただ、高齢者はただ年金が多くほしいだけではなく、自分の生きている間は日本社会は維持したいはずです(株主と従業員のような関係ですね)。もしこれらの問題を解決する望みがあるとすると、それは高齢者の多数がこのままでは日本が維持できないことに気づくことです。そうすれば國枝繁樹先生の提案するような世代間公平基本法の成立も可能かもしれません。しかし、そのためには大きなインパクトのあるニュースが必要かと思います。そのニュースが日本の終わりでないことを祈りたいです。

最後にひとこと。


「自らの安楽と利便のために、未来を略奪して今日だけのために生きるという衝動を避けなければなりません」
-第34代米国大統領D. D. Eisenhower離任演説より-
(村上たいき)

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑