嗚呼お前もか! ― 韓国の国策ノーベル賞受賞対策

2011年01月13日 10:14

新聞報道によると、韓国教育科学技術省が中心になって「ノーベル賞受賞者の輩出を目指し、同国内の大学院博士課程に入る成績優秀な韓国籍学生300人に、2年間で約440万円ずつ支援する『グローバル博士フェローシップ』事業を始める」と言う。


これは、韓国のノーベル賞受賞者が平和賞の受賞者一名のみで、日本の計18人に大きく後れを取っており、韓国民の悲願である自然科学3賞(生理学・医学、物理学、化学)受賞に向けた国を挙げての支援策である。

どこかで聞いた馬鹿げたアイデアだと思ったら、日本の文科省が第2期科学技術基本計画で採用した「50年間で30人程度のノーベル賞受賞者」という数値目標を入れた政策に似ている。当時でも見識がないとか、国として賞を取りにいくものではないのではないかという批判が多かったが、幾らIQ の低さで名高い文科省官僚でも、真面目に考えた政策と言うより、ノーベル賞の権威を悪用した予算分捕り戦術だったと思いたい。

昨年の総合科学技術会議の基本政策専門調査会では「余りにも品のない目標を掲げるべきではない」との強い反対があり「50年間にノーベル賞受賞者30人輩出」の目標は盛り込まない事になったが、そもそも文科省の役人が、ノーベル賞の受賞者を増やすなどとんでもない事で、文科省があるから日本のノーベル賞受賞者が18人に留まって居ると言う方が正確であろう。

研究や勉学に資金が掛かる事は言うまでも無い。然し、優れた研究には、資金よりも個々の研究者や指導者の資質と研究環境が決めてになっている例が多い。世界的なレベルの研究者と研究テーマに金を出す国や研究機関は山ほどあるが、有能な指導者や環境は金では買えない。

問題は、官僚は金を出した後に事細かく口を出す事である。私は、頻繁かつ不合理な報告書の要求に嫌気がさして、米国に研究拠点を移した学者を何人も知って居る。

官僚制度による束縛が、世の中の進歩を妨げた典型的な例としては中国の科挙制度がある。6世紀に科挙が導入されるまでの中国は、世界の富の30%以上を押さえた超大国であったが、2、000倍を超えるといわれた科挙試験に合格した官僚に、大幅な権限を与えた途端、官僚の繁栄と中国の没落が始まった。

科挙が引き起こした問題は経済発展の阻害だけではない。製紙、コンパス、火薬そして印刷など、世界文明の発展に欠く事の出来ない大発明を世界に齎した中国は、その後は文明の発展に貢献する事がめっきり減ってしまった。科挙制度による永い統制社会の弊害は現代にも及び,中国人の血を引く自然科学分野でのノーベル賞授賞者は、全て米国籍の研究者である。

この現象は中国に限らない。アラブ系の自然科学分野のノーベル賞受賞者は全てキリスト教徒で、戒律に縛られ自由な発想を持ち難い回教徒の授賞者はインド、パキスタン系には数人見られるが、アラブ系回教徒はゼロだと言う調査報告もある。

三大文明の発祥地として人類に貢献した地域の人々の子孫が、官僚制度、階級制度、宗教制度などによる強い束縛の始まりと共に経済的にも文化的にも低迷を続けたことは、統制に慣れっこになっている日本人も肝に銘ずるべきである。余計なお世話だが、韓国も早急に官僚の科学文化への干渉を排する事が、ノーベル賞受賞者を増やす秘訣だと気がついて欲しい。

韓国と日本の共通問題は、お上が「優秀さ」を決める事にあり、これではアインシュタイン博士や映画「ビューテイフル・マインド」で有名になったジョン・ナッシュ教授などの天才も、ノーベル賞はおろか、大学入学も困難であったに違いない。

日本と並ぶ官僚天国の韓国だけあって、官僚の馬鹿さ加減もそっくりで、日本が恥ずかしくなって止めた「官製ノーベル賞対策」と言う愚策を、一周遅れで実行する様では、韓国の悲願の達成は無理であろう。

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