問題点は時期ではなく現状の就活システム-山西悠祐

2011年01月17日 10:17

日本経団連が3年生の12月以降に採用活動を解禁するという発表があったが、就職活動を経験した私としては、2ヶ月遅らせたところで学生の就職活動全般に対する変化は微々たるものだと思う。


現状の就職活動は、主に就職活動サイトへの登録に始まり、説明会への出席、筆記試験や面接など、多岐に渡るプロセスを経て内定を取得する。そして筆記対策の勉強、面接対策の業界研究などをして学生は自分の就職に対するスタンスを作っていく。これが一般的な就職活動の流れである。

現在は10月解禁となっているが、学生は夏頃からセミナーに行きだしたり、筆記の勉強をしたりしている。それが12月になっても、学生側の焦る気持ち、早く対策して早く内定を取りたいという気持ちがある限り、早期化は変わらないであろう。

現状の就職活動の問題点は、採用活動の早期化であるよりも、新卒一括採用であることの、”新卒は卒業するまで有効”という事にあると思う。卒業すると既卒という扱いになり、極端に求人件数の減った、厳しい就職活動を強いられる事になる。たとえそれが卒業の1日後であってもだ。とすると、新卒期間中に内定を決めないといけないので、とにかく早く就職活動を開始して、少しでも有利に進めたいと考えるのは自明の理である。しかし、焦って内定先を決めると、入社してからマッチングミスが生まれやすいということが起こりうる。

私は新卒一括採用を無くし、卒業の年度に関係なく採用するという考え方には賛成である。そうすることで、学生の「在学中に内定を取らなければならない」という一種の脅迫概念も消えていくことだろうし、各自、自分が経験を積み、就職したいタイミングで就職活動をすることが可能になるであろう。ただ、新卒と中途を同等に扱うと、就業経験のある中途が有利になり、新卒の就職率が悪くなる事が懸念される。なので、新卒は卒業後も有効にするだけで早期化やマッチングミスには効果はあるのではないか。就職活動の問題を解決するには、企業側はまずはそこから取り組んで欲しい。

大学側も、現在の社会ニーズに合致した教育プログラムの実施や、企業と連携してインターンを活性化させるなどの、人材育成機関としての大学が求められていると思う。グローバル化による競争激化で、企業側の人材育成のリソースが減少しているからだ。

学生も「何がなんでも卒業したら就職」ということを前提とするのではなく、就職は自分の人生選択の一つと捉え、勉強するなり、留学するなりして自分自身の能力やキャリアの具体像をもっと広い視点で考えることが、人生を充実させる上で大事なのではないか。今、社会は劇的に変容している。そんな時代に、自分の内面にある価値観こそが生きるヒントになるのではないか。
(山西悠祐 立命館大学 産業社会学部)

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