テレビ番組のネット配信普及のための二つの条件 - 多田光宏

2011年01月26日 11:36

最近の若者はテレビを見なくなったそうですが、20代にしてテレビのヘビーウォッチャーである私が一視聴者として建設的にどうすればネット配信が普及するかを考察してみました。


まずネット配信が普及しない大きな理由の一つに、テレビ局がネット配信に消極的であるからだと思います。今でもテレビ局が有料でテレビ番組をネット配信していますが、見るからにやる気がなさそうな感じです。

ではなぜテレビ局がネット配信に消極的であるかというと,ネット配信はもうからないからだと思います。たくさんのユーザーがおしげもなく料金を支払ってくれるならテレビ局としてもネット配信に消極的になる理由はありません。

ではなぜ「ネット配信はもうからない(すなわちユーザーが少なく利用が低調)」かというと大きく二つの理由が挙げられると思います。(ここから重要)すなわち

  • 色々な動画コンテンツがバラバラなプラットフォームにある
  • 一つ一つの動画コンテンツが個別に課金される

色々な動画コンテンツがバラバラなプラットフォームにあると、まず見たい動画のあるプラットフォームを探し、アカウントを作り、クレジットカードを登録するという非常にめんどくさい作業があります。

一つ一つの動画コンテンツが個別に課金されるというビジネスモデルでは、今までの「テレビはいくら見ても無料」という概念とはあまりにもかけ離れたものになってしまいます。

この二つのハードルのためユーザーは現在のネット配信を利用しないと思われます。つまり逆に言うと、

  • 色んな異種のコンテンツ(テレビ番組、映画、電子書籍、音楽、ゲームなど)を統一したプラットフォームで利用できる
  • 毎月の定額料金で好きなだけ利用できる

という二つの条件を満たせば急速に普及すると思われます。

この二つの条件を大枠で満たせば、「電子書籍、音楽、ゲームだけは一コンテンツごとに課金する」「コンテンツの利用数に何種類かの上限を決めて、上限数に応じて料金を決める」などの変更を加えてもいいと思います。

もちろん料金収入と広告収入を合わせる、パソコン,iPhone、Androidなどに同じプラットフォームを作る、視聴回数に応じて著作者に著作権料を支払う、コンテンツをダウンロードしても期限が来たらデータが消えるようにするなどは言うまでもありません。

DVDの宅配レンタルなどは定額で借り放題で音楽やコミックなどもありますがそもそも動画のネット配信はありません。iTunesは映画や音楽やアプリなどがありますがすべて個別課金です。GyaO!ストアは見放題のコースもあるようですが動画のみです。

この二つの条件を満たすプラットフォームは今のところないので、テレビ局がそのプラットフォームのイニシャティブを握り、テレビ番組のネット配信が一気に加速する可能性もあります。

しかしテレビ局がネット配信に消極的というか抵抗している最大の理由は、ネット配信が普及してしまうと、番組製作のノウハウも資金力もなく、キー局の番組を垂れ流すことしかできない地方局が失業してしまうので、キー局が地方局を守るためだと思われます。(なぜそこまでしてキー局が地方局を守るのかはわかりませんが)

いずれにせよ地方局が近い将来、倒産するか吸収合併される可能性が高いのでそれを待つしかないのかもしれません。
(多田光宏 京都大学技術職員 twitter)

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