財政再建のため一番最初にすべきこと - 多田光宏

2011年02月02日 13:22

前回の私の記事はアゴラに載せて頂けただけでなく、なんとも佐々木俊尚さん(@sasakitoshinao)にtwitterで取り上げて頂き喜ばしい限りです。さて本題に入ります。皆さんも今の日本の財政状況については、ニュースでうんざりするほど見聞きされているかと思います。このままでは(一部のエコノミスト(笑)などを除き)財政が近い将来破綻する可能性が高いことも、国民の共通認識であると思います。このような緊急の課題の解決には、まず政策に優先順位をつけて、一番優先順位が高い政策から始めることが大事だと思うので、何を一番最初にすべきかを論じたいと思います。


1000兆円もの財政赤字を削減する方法は、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するしかありません。そのためには「歳入を増やす」と「歳出を減らす」であることは明白です。歳入を増やす方法としては、まだ手を付けられていなく、他の税と比べ増税する余地が大きい「消費税増税」が最適だと思いますし、国民的合意も比較的得やすいと思います。あとは何%引き上げるかの議論がなされて、それが決まれば、あとは政府与党の決断次第なので、あまり議論の余地はないと思います。

私が論じたいと思うのは歳出削減についてです。

歳出を減らすための方法には、よく真っ先に「無駄削減」をすべきだと言われます。「無駄削減」については公共事業費、公務員人件費、天下りのための特殊法人など色々ありますが、私が一番大きな無駄だと考えているのは社会保障費です。

国家予算の内訳をみれば、社会保障費が一番多いのは明白ですし、池田先生が以前ブログで指摘されていた通り社会保障費は老人に対して手厚過ぎたり、貧乏人から金持ちへの逆再分配になっていることにより、非常に多くの無駄があると思います。この無駄を削減するためには再分配をベーシックインカムに一本化すべきという指摘もその通りだと思います。

しかし世界中でベーシックインカムを導入している国はなく、ただでさえ1000兆円の財政赤字がある日本で実現するのは相当ハードルが高いと思います。給付付き税額控除なら実現されている国が複数あり、現実的だと思います。さらにこの給付付き税額控除の制度をより少ない予算で実現するため、ある程度資産を持っている人は低所得でも給付はしないというのが、私が考える理想的な再分配システムです。

その実現のためには以下の手順が必要だと思います。

  1. 全国民の所得と資産を正確に把握する

  2. 所得と資産に応じて再分配を行う 再分配の方法は給付付き税額控除を使って、その他の再分配(年金や生活保護など)は廃止する


ここまで読めばタイトルの「財政再建のため一番最初にすべきこと」が何かはだいたい予想がついてくるかと思いますが、すなわち「国民総背番号制度」です。全国民の所得と資産を正確に把握するためには国民総背番号制度が不可欠です。国民総背番号制度により正確な徴税も可能になるので、相続税や贈与税や自営業者の所得税などがある程度増収になることも考えられます。また国と地方のすべての行政サービスを共通番号で行うことにより行政コストの削減も期待できます。

しかしこの制度の導入は消費税増税のように、法律を変えればすぐできるようなことではなく、とても時間がかかりそうです。なので重要性と必要な時間を考慮して、国民総背番号制度を一番最初にすべきだというわけです。最近、政府が共通番号制度を導入する方針を示しました。この件については正しい方向に向っていると思いますが、2015年導入では遅すぎるというか、もう日本の財政が破綻している可能性すらあります。早期導入が無理ならばその代わりとして、消費税増税を一刻も早く決断すべきだと思います。

幸いほめるのが非常に難しい菅政権ですが、消費税増税に関してはやる気を示しています。とりあえず消費税増税を実行し、共通番号制度を導入できるまで、日本国債がデフォルトしないことを祈るしかないようです。
(多田光宏 京都大学 技術職員 twitter blog

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