日本人としての基本のキホン(土肥議員の竹島進呈報道に思う)

2011年03月09日 23:54

先々週、ここアゴラでは某テレビ番組におけるとある有名人の発言に端を発して、「国防論」が展開され、池田さんの「平和ボケから覚めよ」と続き、小幡さんの「そもそも国家というものの目的は...」という、ある種の国家論にまで「昇華」していったようです。

いまさら私がここで持論を展開するのも、石水さんをよってたかっていじめているようで気が引けますが、ちょうど民主党所属の土肥隆一衆議院議員がお隣の国に出かけていって竹島を進呈してきたという報道がありましたので、あえて一筆啓上させていただきます。


私が言っておきたいこと。それは「愛国心」とは感情の問題だということです。

自らが生まれそだった風土や、先祖がその足跡を残してきた歴史と文化に対して、他に別した特別な愛着を持ち、それに誇りをもつという心理作用は、これ全く個人の感情の問題であって、そこに「損得勘定」などといった合理性は介在せず、また介在させる必然も無い。「国家論」やら、「暴力として国家権力」などといった話をもちだす間でもありません。

たとえ領土問題の本質が、国家が大自然を相手に勝手に線引きして決めた不動産境界線を巡る不毛な争いだとしても、これを愛する祖国の一大事として危機感を持つことは、人としてやむにやまれぬ当然の「気持ち」です。

その正体の元をただせば、海にポツンと浮かぶ無人島のひとつやふたつであろうとも、ここで傍若無人の振る舞いに及んだ異国人に対し、昂然と怒りを覚え、またその背後に立つ隣国政府に危機感と対抗意識を抱くことを否定することは、個人の人間性とその感情を否定することに等しい。

「合理性を無視した感情論以外の何者でもありません。」

おっしゃるとおりです、石水さん。

こうした感情があるからこそ、イギリスはもうお荷物以外のなんでもなかったフォークランド諸島にカチコミかけてきたアルゼンチン軍を相手に大西洋を南北に縦断長駆して一戦に及んだのであり、シンガポールは自らを連邦から追い出したマレイ連邦を相手に、その飲料水の供給まで掌握されながら「今に見ていろ」と経世済民に励み、ついにはあの小さい島国がマレー半島とボルネオ島にまたがるマレーシアにGDPで追い抜くまでに成長したのです。

合理的な損得勘定でものを語れば、当初アメリカ政府にも軍事行動を反対されていたイギリスは泣き寝入りして、イギリス/アルゼンチン双方で900人あまりの戦死者という損失を避けるべきだったのかもしれません。あの時、本当に泣いていたリー・クワンユー首相は、マレー人優遇政策と言う不平等をのんで、マレーシアの豊かな天然資源を背景にした、今とは異なったシンガポールの繁栄という絵を描いても良かったのかもしれません。

より高次元の話をすれば、ジョン・レノンじゃありませんが、全ては妄執なのでしょう。「愛国心」とやらも、仏教が説くところの解脱すべき「愛別離苦」の一つでしょう。もしかしたらそう遠くない将来に、鄧小平も予言したように、「我々より賢い次世代が、お互いに納得する結論」とやらを導きだすのかもしれません。わたしもそうなってほしいと願う一人です。

しかし人類史上の現時点においては、我々は「国」という単位を通じて世界に参加しているのです。

そしてこうした「愛国心」という、やむにやまれぬ感情があるからこそ、「国民性」というものが生まれ、「○○人らしく」とか「○○人として恥ずかしい」といった倫理や道徳観念が生まれてくるのです。

もちろん抜き身の「愛国心」をふりまわす下品と野蛮は戒められなければなりません。このことに関しては以前のエントリー「 愛国心が必要とされる時」にまとめましたので、ご参照ください。

石水さんや土肥議員に代表される、日本のいわゆる「平和主義者」が国内的にそれほど支持されず、国外的には利用される以外は全く相手にされない日本特有の「ガラパゴス思想家」である理由は、自らの「愛国心という妄執からの解脱」を、同好の士と共に陶酔するのみにあきたらず、これを手前勝手に他人に押し付けようとするからでしょう。宗教家の行動としては理解できますが、現実を生きる普通の人、ましてや国会議員という公人の行動としては迷惑千万です。

このような特殊な思想を他の人々におしつけるだけでなく、日本国民に犠牲、自尊心の喪失、脱力感を強いて、その上こうした個人感情の抹殺に依拠した思想を、あわよくば我が国の外交政策のひとつの基軸にしようというのですから、いやはや恐れ入った始末です。

おせっかいを承知で土肥氏の為に図れば、早急に議員職を辞し、一個人として良心の命ずるがままに、その信ずるところの平和主義活動を追求されたほうが、国会議員などという妥協を強いられるキャリアに拘泥するより、より充実した悔いの無い人生を送る事ができるのではないでしょうか 。べつに極端な話をしているわけではありません。アメリカのアル・ゴアさんもどこかのインタビューで同様のことを言っておられました。アル・ゴアさんでは親近感が湧かないとおっしゃるのであれば、高山右近という一人のサムライの人生に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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