今は現場を信じ「できること」に集中すべきだ

2011年03月14日 12:45

東日本を襲った巨大地震、また津波で被災された皆さまには心からお見舞いを申し上げます。また亡くなれた方々にご冥福をお祈りするとともに、現地で対策に当たられておられる皆さまのご苦労には感謝申し上げます。
また、今回の未曾有のM9という地震および津波によって起こった災害に関して言いたいこともありますが、今は非常事態の只中であり、「安全なこところにいる」私たちは、問題を整理して冷静に考えることが重要だと感じています。


内田樹先生が、「自戒を込めて」とし、ブログで未曾有の災害のときに「安全なところにいるもの」の基本的なふるまいかたについて書いていらっしゃいますが、示されている「寛容」、「臨機応変」、「専門家への委託」の3つのキーワードは非常に重要だと思います。
未曾有の災害のときに – 内田樹の研究室 -:

発想法で著名な中山正和さんの著書に『考えて仕方があること・仕方のないこと』がありますが、時を追って、考えるべきことと、考えても仕方ないことは変化していきます。また立場によっても、考えなければならないことは異なります。

確かに、東電の経営なり、体質がどうであったかは疑問に感じることが多々あります。いかに想定したレベルを超えた震災であったとしても。それまでの隠蔽体質がどうであったか、また新潟の地震での教訓が生かされたのか、その後の安全性、災害時への対策が甘かったのではなかったのかという疑いが残されたわけで、その責任は逃れられません。

高嶋哲夫さんの小説『イントゥルーダー』は、原発施設が断層の上に建設される秘密をめぐって展開されるストーリーですが、新潟県中越沖地震新潟の地震で柏崎刈羽原発がまさに断層を過小評価し東電が建設したことが発覚しています。

高嶋哲夫さんは、原発の研究者であった方で、小説家への転身はそういった問題提起のためのせめてもの抵抗だったのでしょうか。さまざまな機会に、地震や津波などの災害について講演をされていることにもその姿勢を感じます。

そういった東電の体質はやがて問われるとしても、今の時点では、東電を責めても「しかたない」のです。それを責めるタイミングではありません。それは、緊急事態への対処が一段落してからの問題です。

福島第一電発の三号機も一号機と同様の爆発が起こったようですが、現時点の最大の課題は、いかに原子炉のコントロールを確保するか、最悪の事態をいかに止め、また被害をいかに最小に留めるかであり、東電に求めるべきはその一点です。

現場で事態にあたっている技術者、また関係者の人たち、周辺で対応している自衛隊のみなさんたちは、危険を賭して対処しているわけですから、「安全なところにいる」私達にできることは、現場の人たちを信頼し、みなさんの無事と、事態の収拾を祈るしかありません。

しかし、数多くの記者会見の模様が放送されていましたが、なかには考えものだという質問が目立っています。ありすぎて指摘するとキリがありませんが、たとえば、計画停電に関して、東電からの情報が変化していることに、それをあたかも責めるような質問をした記者がいました。

どれくらい節電が行われるかによって電力需要は変化するために、それを予測することは不可能であり、状況を見て変化するのは当然です。あるいは電力供給が可能であっても、発表通りに停電を行えとでもいいたかったのでしょうか。

電力が刻々と変化する需要量と発電量を合わせる技術だという知識をおそらく持っていないのでしょう。通常は、需要量の変化にあわせて発電量をコントロールするのですが、今回は発電量に応じて、需要をコントロールする事態であることぐらいは理解すべきでしょう。
計画停電の予定地域にも電力供給されているということは、それだけ節電が進んでいるということでしょう。内田先生がおっしゃる「臨機応変」の問題です。

また地域名の表示ミスを指摘していた記者がいましたが、それは質問ではなくアドバイスや確認でよかったはずです。緊急時には、完璧を求めることよりも互いに協力して実質を求めるべきでしょう。

計画停電の地域情報は、東電のホームページにありアクセスが集中することが予想されます。すでにボランティアで、地域リストを入手できるサイトができているようで、小飼弾さんのブログで紹介されています。メディアが行わなければならないのは、そういったミラーサイトをいち早く開設し、協力することではないでしょうか。
東電停電ファインダー for 2011.03.14 – 404 Blog Not Found

また、救出や救助、また支援物資の手配や供給、情報インフラや情報収集の機能がマヒしたなかで情報収集にあたっている現場の人たちが、この緊急事態に必死で取り組んでおられます。

特に被災者の人たちにはとっては、一刻も早い救出や家族の安否確認、また生活物資などの供給が最大の問題であり、それが充分でないことは、さぞかし不安であり、もどかしいことでしょうが、「安全なところにいる」私たちにできることは、厳しい自然条件や被災地の状況のなかで、危険を賭して事態にあたっている現場の人たちを信じ、二次災害がないことを祈り、ご苦労に感謝するしかありません。

「安全なところにいる」人たちが本当にできることは、もう少し事態が落ちつき、被災地にも足を踏み入れることができるようになれば、どんどんでてくるはずです。

もうすでに募金活動が始まっていますが、やがて被災地への生活物資の提供や、ボランティアの人たちによる支援活動も現地に入ることができるようになると思います。こちらのほうは、阪神淡路大震災の教訓もあり、当時よりは円滑に支援が進むことを願うばかりです。阪神淡路大震災の頃よりも、インターネットが役立ってくることと思います。

それより「安全なところにいる」政治家の人たち、また官僚の人たちにお願いしたことは、次の段階での支援体制を準備することで協力しあうだけでなく、今回の震災は、日本の経済の中心地である首都圏にもダメージを与えており、東北の復興計画や、日本全体の経済対策をしっかり協議しあってもらいたいことです。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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