結婚しないのは、なぜ?

2011年03月18日 07:44

岩崎さんのいう、スカブラにはなれないが、10本に1本くらい地震とちがう話題が存在する理由もあるかと思った。不謹慎のそしりを免れないかもしれないが。以下の文章は、「運用3号」が話題になったときにしたためたものである。


「運用3号」が話題になっている。筆者は年金をもらえるとは思っていないが、専業主婦を養っていないせいか、見ず知らずの専業主婦の分まで負担しているとなると、いろいろ考えてしまった。若い世代はそもそも結婚していない人も多く、この問題をどうとらえればいいのだろうか。

これから、年金の払い手が下り坂を転げ落ちるように減少していく。理由は、もちろん、少子化だ。1949年生まれは270万人だったが、最近の出生数は100万人程度だ。

少子化の原因は、当然子供を産まないからだが、その原因を、国立社会保障・人口問題研究所の「夫婦完結出生児数」という統計にみる。この数字は、夫婦生活を15-19年続けている世帯の出生児数の平均で、2.09なのだ。ただし、夫婦生活を相当期間続けている夫婦が、2人以上の子供を生んでいるのか、子どもがいるから夫婦生活が長続きしているのかはこの統計ではわからないが。

導きだされる結論は、少子化の原因は結婚しない人間が増加しているということだ。当たり前だが。実際、2005年の30-34才の男性の未婚率は47.1%、女性は32%が未婚である。さらに生涯未婚率に至っては、70年代までの生涯未婚率は、男女とも1%台であり、80年代から急速に上昇した。現在当事者のアラサー男子からすれば、1%台だったほうが異常に思えるが・・・

結婚問題に立ち入ると、非常に繊細な議論になるので躊躇するが、先達の知見を借りて整理したい。この問題が語られるはるか以前から、結婚難の到来を予想していたのは、小倉千加子氏である。「結婚の条件」の中で、「この国の少子化対策はことごとツボをはずして」おり、「すべての鍵は、『結婚』が握っている」と指摘している。

小倉氏は、結婚をこう定義した。「結婚とは『カネ』と『カオ』の交換であり、女性は自分の『カオ』を棚に上げて『カネ』を求め、男性は自分の『カネ』を棚に上げて『カオ』を求めている」。身もふたもない議論である。しかも、当人たちが自らの分をわきまえなくなった結果、なかなか満足のいく出会いを得られず、婚期を先送りせざるをえない事態に至った。就活と同じく、ミスマッチだ。

山田昌弘氏の研究データでは、年収600万円以上の東京の独身男性は3.5%である。それに対して600万円以上の収入を男性に望む未婚女性は40%。結婚チャンスは少ない。この現実は森三中のギャグで人口に膾炙した。

小倉氏や山田氏も指摘するように、問題は、物質的に豊かな社会を経験することで、人々は、仕事でも、結婚や育児でも、苦労をしたくなくなった。よく議論されるように、保育所の充実など女性が子供を生みやすい環境を整えても、婚外子に対する差別を撤廃しても、効果は、しないよりはマシという程度かもしれない。

社会の変化にも原因がある。2010年版「子ども・子育て白書」による全国の20歳以上49歳未満の男女10,000人を対象としたインターネット調査によれば、「結婚しない理由」の男女・年齢問わず1位は「適当な相手にめぐり合わないから」であった。しかし、2位に男性は各世代とも「経済力の不安」を結婚しない理由としてあげていた。一方の女性は、20代・30代で「自由や気楽さを失いたくないから」で、40代女性でも3位あった。ようするに、数年来、女性の希望のインフレと、男性の収入源の不景気があいまって、婚活戦線はスタグフレーションの様相を呈しているのだ。

明治政府が一夫一婦制を制定し、結婚制度が確立された。近代化し、諸外国から男女関係の曖昧さを指摘され、明治政府が急遽制定したようだ。現在の結婚制度ができたのはつい最近のことだが、これも1940年体制と同じく批判される対象になりうるのだろうか。少なくとも、専業主婦という贅沢はなかなかできないのだから、扶養控除や年金や雇用慣行などの制度設計を考え直すべきじゃないだろうか。

赤沢 良太

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