周囲の者こそ冷静な対応を ‐ 小杉 隆大 

2011年03月19日 15:13

まず、東日本大震災により被災された方々には心からお見舞いを申し上げます。

私の住む地域は幸いにも執筆時点では震災の被害を受けておりませんが、非被災地域に住む者として、被災地域に対する支援のありかたという面から思う点があったので書かせていただきます。


私は地方で公の仕事に就いており、職業柄、救援物資や義援金の取扱いなど、被災地の支援に関することに携わる機会が多くなっています。

そんな仕事や日々の生活を通して強く感じるのは、「被災地域を支援したい」という社会全体の大きな流れです。

テレビでは義援金や救援物資に関する報道がひきりなしに流れ、企業のWEBサイトにも軒並み募金募集の文字が躍ります。海外からの支援も枚挙に暇がなく、著名人も次々に寄付を申し出ています。私の職場でも義援金の募金箱が設置されましたが、1日でなんと数百万円のお金が集まりました。

ボランティア精神に溢れたこういった雰囲気は、道徳的には非常に素晴らしいことだと思いますし、そこから生まれるムーブメント(物質的・金銭的支援)は今後の被災地域の復興においても不可欠であることに疑いの余地はありません。

だだ、被災地域に対する支援が絶対的に善とされ、それが社会現象化している現在の状況下において、非被災地域に住む私たちは、周囲にならって何らかのムーブメントを起こす前に、それが単なる自己満足に終始することがないよう、一度冷静になって考えてみることが必要ではないでしょうか。

例えば、私の職場ではこんな問い合わせがありました。

「今度廃車にする車があり、被災地で使えると思うので送りたいがどうすればよいか」

送る側の「被災地域を支援したい」という気持ちは素晴らしいことです。しかし救援物資を送る前に、一度よく考えてみてください。それは本当に現地で必要されているものでしょうか。

今回の震災は全世界から注目されており、救援物資だけでも莫大な量になることが予想されます。阪神大震災においては、混乱している現場に多種多様な物資が全国から一時に集まり、その仕分け作業に多くの人手がとられてしまいまいました。この教訓は生かさねばなりません。

物資を送る際は、現地の窓口やお住まいの自治体に問い合わせるなど、その物資が本当に現地で必要とされているのかを一度確認してみることが重要です。場合によっては、その物資を換金し義援金として送ったほうがよい場合もあるでしょう。

また、自治体や企業、各種団体など様々な主体で盛んに行われている募金等についても、安易にお金を投入する前に、そのお金が本当に自分の希望に沿う形で使われるのか、その用途を確認してみることも大事です。募金したことだけに満足し、結果そのお金が被災地域のために使われなければ、それはただの自己満足にすぎません。

巷では、募金箱を置いただけで大金が集まる現状につけこんだ、義援金詐欺なるものも出てきているようです。募金等をする際には、社会的に信用できる団体のみを通じて行うというのもひとつの方法でしょう。

「被災地を支援したい」という素晴らしいボランティア精神、それを無駄にしないためにも、各々がムーブメントを起こす前に、一度冷静になってそのありかたを今一度考えてみることが大事なのではないでしょうか。

(小杉 隆大 公務員)

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