震災を乗り越え、電力の自由化を実現できるか -米崎義明

2011年04月09日 21:40

福島原子力発電の事後処理が、議論として巻き起こっている中、原子力発電が淘汰され、再生可能エネルギーを推進する世論の流れになるのは、ほぼ間違いないだろう。
なぜ、今の今まで、国及び電力会社は原子力を推し進め、再生可能エネルギーを推進してこなかったのか。

中国電力は、山口県上関町に上関原子力発電所の建設を計画している。漁協をはじめとする反対派住民や全国から集まった若者らは、海上にカヌーや漁船を出すなど抗議活動を行い、工事を強行する中国電力の職員らと衝突、けが人も出た。
カヤック隊として上関の海を守っている若者が、中国電力に裁判を起こされ、作業 遅延を理由に、4人の個人に対して4800万円の支払いを求められている。こういった裁判をSLAPP裁判という。

そもそも中国電力は「電力余り」で関西電力などに余剰電力を買い取ってもらっている状態だ。中国電力は電力需要量は増えるという計画を根拠に、原発建設が必要と説明しているが、実際には販売電力の実績は年々減っている。

中国電力がこのような非合理な経営をできるのは、電力会社が市場を地域独占しているからに他ならない。中国電力は他社に比べて石炭による発電の割合が高く、 CO2排出量が他の電力会社に比べて高い。その排出量を他社と横並びに合わせるため原発を建設し、母数を増やすという、馬鹿げた論理である。

原子力の推進する理由として、エネルギーの安定供給性,環境保全,経済性の3つを上げている。しかし、原子力は巨大な設備投資をして、長期的な回収期間で安定的に回収していかなければならず、原子力によって独占市場を正当化するという、いかにもふざけた回路がある。つまり、電力会社は地域独占を守り、官僚の天下り先の確保のために原子力発電を推進している。TV局は電力が大口スポンサーシップのため、世論を盛り上げることができない。
民主党政権は「2020年までにCO2を25%削減」、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入を09年マニフェスト掲げたが、経産大臣に適任者を登用できず、完全に失敗に終わった。

しかし、福島第一原発の事件により、今後の展開はわからなくなった。東電は、損害賠償を払いきれない場合もあり、国内の各電力会社で分担しなければならない可能性がある。
また、自然エネルギーの設備投資することになると特定の地域から分配しなければならなくなり、横串の送電線を作らなければならなくなる。今こそ、官僚の肥大化に伴う地域独占性を廃止し、自由化に突き進むべき時ではないだろうか。
(米崎義明  charity japan)

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