節電対策としてのテレビ文字放送ー花岡伸也

2011年04月15日 02:28

テレビ局にも真夏の節電対策として計画的な放送休止が必要ではないか,という話を聞くことがある.「計画停波」と検索してみると,複数のブログがヒットする.計画停波までは行かなくとも,テレビ局が節電する方法として参考になる海外の例を紹介しよう.


1996年の夏,博士課程学生だった私は,7-8月の2ヶ月間,留学研修でフィンランドにいた.研修先は当時のフィンランド道路公団.よく知られているように,夏の北欧の昼は長く,夜は短い.長い夜の冬を過ごした北欧人は,夏の間,日光を文字通り貪欲に求める.人間の生存には日光は必要なのだと,当時は強く感じたものだ.

研修先は,ロシア国境に近い道路公団の現地作業オフィス.勤務時間は朝7時から午後3時半までだった(冬はもっと長いそうだ).最長で夜の3時頃まで明るかったので,時には仕事が終わってから1日が始まるという感じさえあった.現場の人に,仕事が終わってから何をするの?と尋ねると,よくある返事は「日光浴さ」だ.

すぐに気づいた.平日は,テレビが文字放送しかしていない時間帯がある.テレビ局は当時3局だったと記憶しているが,どこも朝のニュースの後,日によるが確か午前9時から午後5時ぐらいまで,ニュースや天気を「文字だけで」繰り返し流している.これはテキストTVと呼ばれていた.この理由を尋ねると,「この時間帯にテレビを見ている人はほとんどいないよ」,「仕事があるだろ」,「仕事がなくたって,何でこの時間に家でテレビを見ていなくてはならないんだい.この時間は外で日光を浴びるのさ!」という返事だった.

これはもう15年も前の話だから,もう文字放送はないのかと思っていたが,少なくとも2006年まではあったようである.夏の日中はテレビを見ず,日光を浴びるのが(きっと多くの)フィンランド人の日常だった(今でも同じ日常かもしれない).

この文字放送,節電対策として,真夏の電力消費ピーク時にテレビ局で導入できないだろうか.計画停波のような強制策は,テレビ局が反発してうまくいかないだろう.しかし,どこかのテレビ局が,最初に「私達は週○回,朝と夕方の電力消費ピーク時中,映像放送一切を停止し,文字放送のみ行います」と宣言したら,むしろそのテレビ局の評判が上がるのではないだろうか.これが他局にも広がり,電力消費ピーク時に多くの家庭がテレビを見なくなれば一石二鳥である.スポンサー探しに苦労しているらしいテレビ局にとっても,実は渡りに船となり,一石三鳥にもなるかもしれない.いや,それ以上に,テレビ局が身を挺して節電を率先して実行することよる,節電呼びかけの大きな広報効果にもなり得る.

NHKは無理だろうから,そんな英断ができる民放が出てくれば面白い.

東京工業大学大学院 准教授 花岡伸也

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