東日本大震災復興構想会議と復興実施本部

2011年04月15日 11:22

3.11以降の日本が最も必要とするのは政治のリーダーシップである。そして議会制民主主義を採用する日本に於いてはこれは菅首相のリーダーシップそのものを意味する。

1年近く菅首相を観て感じる事は、所謂一所懸命の一所、詰まりは政治生命を賭して是非手がけたい政治課題の不在である。

仮にこれがあれば、党の掲げるマニュヘストの中身との整合性を考えたり、マニュヘストを錦の御旗に党を纏め上げ、官僚を指導し、仕事をさせた筈である。

極めて残念であるが、菅首相にはこれと言ってやりたい事が何もない様である。強いて言えば首相の座にしがみ付く事位ではないだろうか?

色眼鏡で観ているのかも知れないが、言っている事、やっている事に保身とその為の小賢しいパーフォーマンス以外、何も感じられないと言う国民は、私を含め多いのではないだろうか?

こう言う御仁が雑多な会議や実施本部を設立した所で、結果、会議は踊るであったり、笛吹けど踊らずの展開と言った残念な展開になる事は明らかである。

さて、鳴り物入りの東日本大震災復興構想会議の状況は記事にある通り実に悲惨である。スタート第一歩目で躓き、顔から地面に落ちた様な無様な姿ではないか?

「全国民の英知を結集する」として菅直人首相が発足させた東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の議論が14日始まった。6月末をめどに第1次提言をまとめることを確認したが、首相が議論の対象から原発問題を外すよう指示したのに対し哲学者の梅原猛特別顧問らから異論が噴出。震災発生後の本部・会議の乱立や政治主導の政権運営に疑念を呈する発言も相次ぎ、復興構想の具体化に不安を残すスタートとなった。【平田崇浩】

そもそも、何の為、誰の為、この会議体を設立したのかと改めて思う。哲学者なんかをメンバーに入れたら、抽象的な話やそもそも論に終始して結果、会議は踊るで堂々巡りを繰り返し、結論が出ないのは当然だ。

池田信夫先生は、今朝下記の通り呟いている。

そこへ「原発は文明の災害だから廃止しろ」などとのたまう梅原猛先生が乱入して、構想会議は最初からダッチロール。文明とか哲学とか語ってたら、10年たっても結論は出ない。都市計画に特化した実務的な体制にすべき。

深く共鳴する。原発問題は突き詰めて考えればドイツ型の脱原発、再生可能エネルギーへの転換か、或いはアメリカ型の原発を推進しての二酸化炭素の削減と中東の地政学的リスクを軽減するかの、二者択一の極めて実務的な、哲学とは真逆の作業の筈である。

一方、復興実施本部も笛吹けど踊らずの典型である。菅首相が本来背負うべき責任を野党にも分担させようとしたり、野党を巻き込む事での政権の延命を画策している事が、余りに露骨であり、少々の毒饅頭なら食べるであろう、自民党ですら躊躇しているのではないか

東日本大震災の復興に向け、菅直人首相は有識者らによる「復興構想会議」が策定する復興計画の実施主体として、与野党幹部が参加する「復興実施本部」を設置する方針だ。自ら呼び掛けた大連立の実現が困難なことから、復興実施本部を足がかりに与野党協力を進めるのが狙い。だが、野党側の反応は鈍く、復興の「青写真を作る段階」から参加を呼び掛けた首相の狙いが実現するかは不透明だ。【野原大輔、朝日弘行】

自民党含め、野党がこんな申し出にほいほい乗っていては国民に愛想を尽かされ、次回の選挙で党が崩壊するのは確実であろう。

そして何より看過出来ないのは、議論した事、決めた事を実際に実行する官僚組織の関与、存在が希薄な事である。

官僚組織とは、国家公務員、地方公務員、人件費総額は33兆円にも達する超巨大組織である。従って政治が求められるものは、一刻も早く明確なビジョンを示し、官僚組織を総動員する事の筈である。

仄聞する所、既に官僚の多くは菅首相に愛想を尽かしているとの話である。そういう背景から会議体や実施本部を乱立させているのであろうが迷惑するのは、復興が遅延する事で不自由な生活を余儀なくされる避難民である。

西岡参院議長による菅首相への退陣要求も立法府の長として当然の行為と思う。

西岡武夫参院議長は14日の記者会見で、菅直人首相の東日本大震災への対応に関し「(都市計画などの)首相の考えが出てこないのならお辞めになったらいい」と述べ、首相退陣を求めた。西岡氏は緊急事態に対応する特別立法の必要性を指摘し「1カ月たっていまだに法律も一本も出されていない。対応が遅すぎる」と批判。都市計画や農漁業再生に向けた首相の明確な方針が示されないことを挙げ「リーダーシップを持った方がやらないと駄目だ」と指摘した。

東北復興は失われた20年を経て日本が生まれ変わる又とないチャンスである。官僚組織を中核に人材資金を投入し、日本の保有する技術をレバレージとして最大効果を貪欲に追求すべきである。

福島原発事故により日本ブランドの価値が剥落したのは事実である。しかしながら、見事な復興により新たな日本ブランドの構築は充分可能であると考える。

山口 巌

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