原発問題の本質を考える

2011年04月17日 14:38

3.11以降、原発問題に就いておびただしい量の意情報がネットを駆け巡っている。識者、論者の意見も多種多彩、百花繚乱の様相を呈している。

基本、今後を考えるのに多様な意見がある事は選択の幅を広げ好ましい事と考えている。しかしながら、既に一か月以上が経過した今、問題の本質を突き詰め、今後を具体的に考える段階に来ているのではないだろうか?

ネット経由取得可能な情報から考察してみる。

原発問題の本質の第一は危機管理だと思う。今回の福島原発事故は津波が想定外に大きく、結果非常用電源が破損し冷却システムが止まってしまった事に起因すると聞いている。

そうであれば、更に原発建屋最上階であるとか、無理なら屋上に非常用の発電設備を建設して津波に対応するとか、これが設計上無理ならば一定時間冷却システムを稼働さす事が可能な大型のバッテリーを設置する等追加対応が必要ではないか?

政府は下記日本全土に点在する原発の、津波への備えを調査し、国民に公表すべきだ。福島原発と同じリスクを抱え込んでいるのではと危惧する。

原発の位置-1

http://www.jaif.or.jp/ja/nuclear_world/data/image/jp_npp-location.jpg

2番目は管理の危機である。今回の福島原発事故が焙りだしたものは、監督官庁の経済産業省と事故当事者、東京電力の不適切な馴れ合い関係であり、有名無実で実際機能していない原子力安全委員会の実態である。

この背景には、電力会社による地域独占や天下り先確保の為の経済産業省による恣意的な裁量行政が推測される。この腐臭の漂う関係の遮断が強く求められる。

3番目は核燃料リサイクルが実質破綻している現実である。

日本の原発は、福島原発の如き第一次原発と、それに続く使用済み燃料の再処理、再処理燃料を使用した高速増殖炉による発電と更なる核燃料生産の循環が機能する前提で経済評価が成された筈である。

日本の原発戦略の基本は、燃料となるウランが必要量供給されるとの前提の下、先ず今回事故の福島発電所の様な原発での発電があり、次いで六ヶ所村での使用済み核燃料の再処理、最後に高速増殖炉での再生燃料(プウトニューム)による発電と、これに併行した燃料となるプウトニューム製造と言う事であった筈である。

この循環により単にウランを燃やすだけの原発発電に比べ60倍の発電が可能との関係当局の説明であった

しかしながら、六ヶ所村の再処理センター、高速増殖炉もんじゅ共に工場が稼働せず再開の目途が立たない現状では、ウラン燃料を購入して発電し、使用済み燃料は廃棄処分にする事を前提に経済評価をやり直すべきである。

又、前途に何の可能性が無いにも拘わらず数多くの原子力関連政府外郭団体が温存され、経済産業省の天下りの温床になっていないか調査すべきである。

今一つの問題は、原発を開始して何十年にもなるのに未だに使用済み核燃料の廃棄方法、廃棄場所が何も決まっていないと言う信じられない事実である。誰も泥を被りたくないと言う事なのか?それにしても、今回の事故で廃棄場所の選定は限りなく困難になったと思う。

4番目は脱原発に舵を切った場合の代替電源の確保である。既に、原油輸入の90%を地政学的リスクが高まりつつある中東に依存する我が国が、石油に向かう事は断じて許容されない。リスクが高過ぎる。

LNGは産出国が分散しており、原油の様なリスクはないが価格がWTI原油先物相場にリンクしており、既にかなり値を上げているが、今後中東に動乱が起これば暴騰の可能性が極めて高い。

最後は安全保障との兼ね合いである。原発問題を突き詰めて考えれば、ドイツの様に脱原発に舵を切り、再生可能エネルギーに活路を求めるか、或いはアメリカの様に原発を推進し二酸化炭素と中東のカントリーリスクを軽減するかの2者択一である。

アメリカとの日米同盟を安全保障の基軸に置く日本が、フリーハンドを持っていないのは明らかであろう。

最近、与謝野経財相の「原発推進は決して間違いではない」とのコメントに対し野党政治家に揚げ足取り的な批判が散見される。

与謝野経財相の発言には国を預かる大臣、政治家としての自覚、責任感が強く感じられ、好感がもてる。発言内容も日本の現在のエネルギー事情や安全保障、牽いては日米同盟を考えれば至極妥当と思う。

与党若手の政治家や野党の政治家は世の中に充満する、反原発のムードに安易に流されたり、これを追い風に利用する事無く、原発問題の本質をしっかり理解した上で、与謝野経財相の如き老練で経験豊かな政治家に論争を挑んで欲しい。勿論、下品極まりない揚げ足取り等してはならない。

山口 巌

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