ニッポンの義務教育制度の転換

2011年04月24日 08:48

学習指導要領の改訂
公立学校の教育の質の変化に対して、国民の関心はかつてないほど高まっている。90年代、高い理念を掲げ、エネルギーを注いだが、改革は実らなかった。公立学校において、「教え込み」の授業への反動から、「教えずに考えさせる授業」がよい授業であるとの認識が広がりすぎ、新しいタイプの「わからない授業」を量産した。

その反動で、学習指導要領が小学校で11年度、中学校で12年度から全面実施される。主要教科の授業時間の増加について文部科学省では、「詰め込み教育」への転換ではなく、主に「確実な習得を図る繰り返し学習」、「観察・実験やレポート作成、論述など」を充実するために行うとし、学校週5日制は継続するとした。また、小学5・6年生で週1コマの外国語活動が必修化される。主に担任が行う簡単な会話練習だ。小学校では新たに授業時間を確保し、担任が授業準備をする。現場からは不安の声が上がっている。というか、小学校の教員が英語を教えられるのか。


今回の改定により、
○授業時数の増加(主要教科)
○指導する内容の増加(2002年までに減らしたものや、上の学年に持ち上げたものをもとにもどしたというものではない。)
○理数教育の強化
○国際化に対応する内容を、英語と社会に付加

今まで30年間、減らすことに努めてきた指導要領が修正された点は評価すべきだ。授業時数・内容は、特に中学で増加幅が大きい。習得する知識が増える今回の改定こそ、学習能力や学習方法が重要になるが、心配な点は現場の対応だ。教師が消化不良となり、児童生徒も消化不良になるかもしれない。しかし、それでも現場の奮闘に期待するしかない。

また、教育現場を巡って、いじめ、不登校、校内暴力、学習意欲や学力の低下といった課題が生じているのは周知のとおりだ。

児童生徒の発達や意識の変化
教育基本法や学校教育法等の制定時と今日とでは児童生徒の成熟度に差異が大きい。特に、身体的な早熟傾向と体力的・精神的・社会的な面での発達の遅れが生じている。何のために学校に行くのかの意識が子どもたちにうまく合っていない。

家庭・地域社会の変化
少子化の中で、集団性を育む機会が少なくなる。家庭の教育力や共同体意識も低下している。こうした中で、特に学齢期の集団教育をしっかりと行う制度設計が必要となる。このために、学校教育への期待が増し、これに応えるための学校現場の加重負担感が広がった。

学校の教育活動の課題
学校教育の中での児童生徒の躓きに十分な手当てがなされていない。これは授業以外の雑事や文科省や教育委員会からの調査等の負担が増したことから、個別の児童生徒に対応する時間がなくなった、教員の多忙化が一因だろう。

学ぶことへの動機づけ
義務教育制度は近代化とともに成熟してきたが、近代化が終焉し、高度情報化社会に転換した以上、義務教育のシステムも内容も変革しなければならない。世界規模で人材競争が一層急速に進む。基本的な資質の上に、創造性や高度な専門能力等を身に付けた人材の育成が不可欠である。そのためには、義務教育制度が現在直面する様々な課題を克服し、新しい時代にふさわしい教育を実現することが急務だ。が、それに教育行政が応えられるかは甚だ疑問ではある。

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