周波数オークションの導入に関する提案

2011年04月28日 07:45

総務省に設置された「周波数オークションに関する懇談会」が求めた提案募集が今日締め切られる。昨日、提案を提出したが、その全体は、後日総務省から公表されるから、ここでは、今まであまり書いてこなかった次の論点に絞って、抜粋を掲載する。

  • 収入の使途:一般財源か、特定財源か
    対象範囲:競願が発生する無線システム全て(携帯電話、放送、人工衛星等)を対象とするか
    電波利用料制度との関係:オークション導入に伴う電波利用料制度の在り方
    利用する技術および利用方法の指定のあり方
    落札額に上限を設けるべきか


収入の使途:一般財源か、特定財源か
一般財源とすべきである。

先般3月11日に東日本大震災が発生し、東北・関東地方は大きな被害を受けた。復旧・復興には大規模な予算処置が必要で、それを増税で賄うか国債で賄うか、といった議論が行われている。周波数オークションによって得られる国庫収入は、増税と国債以外の第三の収入源であり、国難に直面している今こそ、これを活用すべきである。

復興資金の一部に充てるためには、周波数オークションの速やかな法律化を図り、今後予定されるすべての周波数配分に原則として適用すべきである。周波数オークションは第四世代携帯電話からなどと先延ばしするのは好ましくない。(以下省略)

対象範囲:競願が発生する無線システム全て(携帯電話、放送、人工衛星等)を対象とするか
周波数オークションにかける電波帯は、原則的には、国防・防災・航空管制など、公的に利用される以外のすべての電波帯とすべきである。

公的に利用される電波帯以外の電波帯のうち、①有効に活用されていない、②現在の利用技術に代替可能な新技術がある、③再免許の時期にある、といった電波帯を優先的に周波数オークションにかけるべきである。

有効に活用されていないかどうかの判断については恣意が入る余地をなくすため、①利用可能な利用者数の3割を越える利用者が既に利用している、②年間平均で5割を越える時間について利用されている、といった数値基準を設け、あらかじめそれを公開しておくのが適切である。

(途中省略)

本論点に関連して、最後に、地上デジタルテレビ放送の空きチャンネルについて意見を述べる。今のままでは空きチャンネルは有効に活用されないと想定されるが、現利用技術である地上デジタルテレビ放送に干渉しないで利用できる新技術が実用化されつつある。したがって、空きチャンネルについては周波数オークションの対象とし、新サービスのために提供するのが適当である。

空きチャンネルは放送区域ごとに変わるため、特定地域内に限定してサービスを提供することができる。一方、地域ごとに別のチャンネル(空きチャンネル)に自動的に切り替えるようにすれば、全国サービスとしての提供もできる。どのような形態でサービスを提供するかは、入札者の自由とし、多様なビジネスモデルを許すべきである。

電波利用料制度との関係:オークション導入に伴う電波利用料制度の在り方
周波数オークション導入と電波利用料制度とは直接関係するものではない。

周波数オークションを導入しても電波利用料は取り続けるとあらかじめ決めれば、それを前提として入札することが可能になる。電波利用料は取らないと決めれば、それを前提として入札すればよい。

利用する技術および利用方法の指定のあり方
落札者が最善の努力で進めるビジネスを阻害する条件を付すのは適切ではない。

周波数オークションにかける電波帯の用途を「通信」「放送」「通信及び放送」程度に指定することは構わないが、それ以上の詳細については、落札者に委ねるべきである。

それによって、たとえば、昼間は通常のテレビ放送を実施し夜間帯はデジタルサイネージ向けに映像を送信し蓄積する、といった利用方法も可能になる。

利用方法を実現するために、どの技術が最適かは落札者が選択すればよい。

すでに市中に広く普及している無線機器を対象とするサービスを提供したいと考えても、まったく新しい機器とサービスの組み合わせを提供したいと考えても、それは落札者の自由とすべきである。

落札額に上限を設けるべきか
落札額に上限を設けるべきではない。

平成23年2月2日の衆議院予算委員会で、電波法の改正に関わる質疑があり、いわゆる終了促進措置について、片山総務大臣は「費用負担の上限について設けることも定めたい」と答弁した。このほか、平成23年4月19日の参議院総務委員会でも同様の答弁がある。

このように上限を設けた場合には、どうしても落札を希望する事業者は上限で入札せざるを得ない。そのような事業者が複数存在する場合には、いずれも上限で入札するため、実質的には、今までと同様に比較審査方式で事業者が選定されることになる。

つまり、終了促進処置にともなう電波法の改正を、片山総務大臣が答弁したように「オークション的なものを取り入れた」改正と解釈するのは無理がある。

今回、懇談会で議論しているのは、比較審査方式の一部修正にすぎない終了促進措置ではなく、本格的な周波数オークションの導入である。本格的な周波数オークションでは落札額に上限を設けるのは不適切である。

山田肇 - 東洋大学経済学部

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