本当に電力料金を上げる事が出来るのか?

2011年05月05日 13:43

机上の空論絵に描いた餅と言う言葉があるが、今、政府が検討していると言われる東電救済スキームがそのものずばりではないか?

スキームは下記の通り、奉加帳方式で各電力会社に賠償金を一部負担させ、不足分は一旦国が立て替え電力料金の値上げによって生じる将来利益で回収するというものである。

救済

このスキームが成立する為には、電力料金を値上げしても電力需要は伸び続けるとか、そこまで行かなくても、変わらないと言う仮説が成り立つ必要がある。

結論を言ってしまえば、議論するに値しない余りに独善的な考えである。

先ず以て、国内電力需要の内、約70%が法人向け、残り30%が一般家庭向けである。

電力料金の値上げは、少し荒っぽい議論であるが、法人税の税率アップと同じ事で、企業は結果製造業を筆頭に海外移転を加速するに決まっている。それでなくても脆弱な政府や、官僚の天下り先確保の為の不要で過剰な規制に嫌気がさしている筈である。

電力料金値上げは、海外移転を逡巡する企業の背中を押すだけで、結果電力需要が落ち込み電力会社の収入も減る事になる。

国内に残留するにしても、高い電力では競争力を維持出来ず、多くの製造業は自家発電に移行する筈である。

鉄鋼やセメントと言った石炭を熱源に使い慣れた製造業が石炭火力に乗り出し、売電に注力する展開や、ガス会社がガスタービンジュネレーターを増設し、新たな電力事業者として市場に参入する事を予想するのに左程の想像力は必要としない。

こういう新規の電力事業者は小口の一般家庭は相手にしない。従って、電力需要の30%に過ぎない一般家庭が原発賠償に要した巨額の補償金を負担する事になる。

電力料金は暴騰し、電気は高価で贅沢なものとなる。

酷暑にエアコンを我慢して熱中症で亡くなる老人とかのニュースが日常的になるのではと思う。

山口 巌

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