「補償」するなら、将来を見据えた方策を!

2011年05月06日 10:13

前のコラム(今のままでの「電気料金の値上げ」には疑問)でお話をしたように、要は「電力供給を維持するために」ということを錦の御旗として「東電を破たんさせるわけにはいかない」から「電気料金値上げ(又は増税)」を政府が画策しているということです。でも、東電からみて「最も関係性の低いステークフォルダー(つまり、国民)」が一私企業の事業上の失敗を、真っ先に穴埋めするのは合理的ではありません。「先にやることがあるだろう」と誰でも思うわけですから、「先にやること」をまず考えてほしいものです。

ただ他方で「何故、一元的な電力供給でなくてはならないのか?」という点も考える必要があります。電力供給が事実上の独占状態である以上、東電の発言力が強くなるのは当たり前であり、だからこそ、今のように「東電を“現状のまま”存続させたい」という力が働くのです。

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一元的な電力供給について東電等の大手電力各社は「NYでかつてあったような大規模停電が起こらないようにするため」といっているようです。確かに平時においては一元的な電力供給によって大規模停電は起こりにくいのでしょうが、今回の原発事故では、かなり無計画な計画停電が実施され、しかも、その最中でも「これ以上電力需要が伸びると“大規模停電”になるかも」として大混乱を招いたのは記憶に新しいところです。

欧米で一元的な電力供給を続けている国はないようですから、日本も、これを機に多元的な電力供給システムに変化するべきなのではないでしょうか?

すでにスマートグリッドという技術により、多元的な電力供給は可能なのですから、最近あちこちで話題になっているように「送電と発電の分離」を真剣に議論すべきだと思います。

その流れで「補償問題」も考えてはどうでしょうか。

つまり、東電の送電部門と発電部門を分離し、東電は一発電企業として存続させ、送電部門は国が買取ってしまう。東電は送電部門の売却で得た資金を今回の補償に充てるとともに、今後続くであろう補償についても発電部門で得るであろう収益を充てるというスキームです。

送電部門を買取る資金は、一過性の増税でもいいのですが、特別な国債でも良いと思います。というのは、送電の際に発電事業者から一定額の料金を徴収すれば、送電部門は収益を生む事業になるため、当該国債の返済が可能になります。

このように送電と発電が分離されれば、発電事業が自由に行えるため、いろいろな発電事業者が出現することで競争原理から電気料金が下がることも考えられます(今、競争原理が働かないのは、電気事業法によって、事実上、送電が自由化されていないためです)。

また、「どうしても原発が嫌い」という場合には、原発を発電源にしている事業者から電気を購入しなければ良いわけですし、そのような人が多くなれば、市場原理によって原発をなくすことも可能でしょう。

まぁ、それほど簡単な話ではないのでしょうが・・・

ともかく、単に「料金値上げ」などという目先の事態の収束だけを考える政策では、誰も納得はしません。「国民生活第一」であるなら、国民が納得するような政策を提示してほしいものです。

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