フリーになるな。スペシャリストになれ! @sorahikaru

2011年05月15日 13:55

先日、弊社のiPhone / Androidアプリ開発支援 RainbowAppsスクールにこんな問い合わせがあった。

■質問
「プログラム初心者です。Androidをやるべきか、iPhoneをやるべきか悩んでいます。また、現在28歳でフリーで働けたらと考えていますが、不安も多いです。」

この質問には、20代、30代が抱えている問題や不安を多く含んでいるので、本人にだけではなく、アゴラ読者にも僕の考えを伝えいたと思う。

質問者の28歳男性には、これからのキャリアの積み方や、先行き不透明な人生に不安があるのだろう。28歳は1回目の転職や独立を考える最初の転機とも言える。不安があって当然だ。
質問をいくつかに分けて回答していきたいと思う。


Q1:プログラム初心者です。
質問を補足すれば多くの人はこんな感じになるだろう。
Q1’:プログラム初心者です。こんな自分がiPhoneやAndroidのアプリのプログラムを今から(28歳)学んでモノにできるでしょうか。

解説:
新しいことを始めるときは誰もが初心者だ。大事なのは先行者の優位性を嘆くのではなく、なぜ自分がその世界に入りたいと思ったのか、そこを突き詰めることだ。28歳までプログラミング初心者だった人がいきなりプログラミングを勉強したくなる。それには理由があるはずだ。その理由というのが将来の新しい人々のニーズにつながるのである。山登りに例えればすでに山頂近くまで登った登山者には地上から山を見上げることはできない。上から見下ろすだけだ。下から見ることによる環境や状況の変化を感じることはできない。そこにニーズの変化がある。ニーズの変化はライフスタイルの変化を生み、技術の変化を促し、新しい市場を作り出す一歩だ。

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初心者を嘆くことはいつでもできる。しかし最初の一歩を踏み出さなければいつまでも初心者のままだ。多くの人がこのジレンマの中で一歩を踏み出すことができない。先行者の足あとを見てはいけない。自分にしか見えていないニーズを現実化するのだ。それが初心者の強みだ。

回答:できる。
初心者か経験者かは関係ない。モノにできるかというそのモノのゴールを最初に決めることだ。初心者がいきなりエベレストに挑戦できないのと同じだ。まずはモノにできる目標を設定することだ。一つずつ目標をクリアし、次の高みを目指す。これはプログラミングに限らずどんなことでも共通だ。

Q2:Androidをやるべきか、iPhoneをやるべきか悩んでいます。
質問を補足すれば多くの人はこんな感じになるだろう。
Q2’:Android と iPhone のどちらがプログラミング技術を習得する難易度が高いですか。また習得した後、どちらが市場性や成長性が高いですか。

解説:
僕のいつものセミナーを聞いてもらえばもっと具体的に説明できるが、両者の違いを一言でいうと、多様性と統一性だ。Androidには多様性があり、iPhoneには統一性がある。プログラミング言語が全くの初心者であれば技術的難易度はどちらもそれほど変わらない。JavaとObjective-Cの違いがあるが、開発ツールがこなれてきているので吸収できる。

どちらを最初に選ぶかは、例えば先進国のアメリカ市場を目指すのか、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)のような新興国を目指すかの違いに似ている。どちらの市場を攻めるにも英語を習得しなければならないが、英語だけでは戦えない。

先進国アメリカはビジネスのための仕組みが揃っているが、知性の高い競争が待っている。ある統一性が存在する。= iPhone市場の例え

新興国は何でもありだ。ルールを作ることから始まる。カオスだ。超低価格ビジネスから高付加価値ビジネスまで何でもありだ。ハングリー精神に富んだ激しい競争が待ち受けている。市場規模は巨大でだれもがチャンスを狙っている。 = Android市場の例え

この回答は自分自身しか得ることができない。市場規模や市場参入の難易度、技術スキルの差異はインターネットで調べればいくらでも材料は出てくる。自分の得意分野や能力と相談して最終決定すべきだろう。どうしてもわからないという場合は、両方を経験してみることだ。遠回りのようで実はこれが意外にいい結果を生む場合もある。簡単に言えば、アメリカとブラジル、ロシア、インド、中国をビジネス観光するようなものだ。費用も50万円くらいで回れるだろう。初心者向けの iPhoneとAndroidの講義を二つ受けるようなイメージだ。それから決めても遅くない。

このような意思決定の場合(2つの同じような分かれ道で決断を迫られる場合)の対処方法は、決断する前にとにかくできるだけたくさん両者の判断材料を集めることだ。たくさんあればあるほどいい。そして両者の経験者から話を聞き、最後に引き戻れるところまで実際に自分で体験することだ。これが最もリスクを最小化できる決断方法である。

回答:どちらでもよい。どちらも市場性と成長性に問題はない。
iPhone(iOS搭載機器)はすでに2億人、毎日15万台出荷。Androidは1億台、毎日40万台出荷。どちらもアプリマーケットにアプリをリリースすれば全世界に販売できる。こんな市場はかつてなかった。
しかし最終的にはどちらかを選ぶ方が強みを発揮できる。それは自分でしか決めることができない。

Q3:現在28歳でフリーで働けたらと考えていますが、不安も多いです。
質問を補足すれば多くの人はこんな感じになるだろう。
Q3’:28才です。現在企業に勤めています。このまま勤めていいいのか将来に不安を感じています。願わくばAndroidかiPhoneの開発スキルを身につけ、会社を辞めて独立してフリーで活動したいと思っています。しかし会社を辞めて経験もない自分がいきなりフリーで活躍できるのか、収入が得られるのか、不安です。

解説:
今、20代、30代の多くの人が同じような疑問や不安を抱えているだろう。勘違いしていけないことは AndroidやiPhoneの開発スキルを身につけることと会社を辞めて独立することを結びつけてはいけないということだ。プログラミングできることと、独立することは全く別物である。

AndroidやiPhoneのプログラミングスキルを身につけることは、疑いの余地がないくらい賛成だ。何度も言うが市場規模は巨大で成長率は驚異的だ。本当の意味で技術が身につけばいろんな可能性が広がるだろう。

しかしプログラミングができるようになれば、独立してフリーになれるかどうかは、考えが甘いというしかない。そんなことが可能ならエンジニアはみんな独立しているだろう。世の中は不思議なものでトップクラスのエンジニアが企業に勤めていて、しょぼいプログラマーがフリーでいることのほうが多い。これはプログラミングの優越が独立開業とは関係ないことを意味している。

不安を感じることは人間として正常な状態であるばかりではなく、前に進むための意欲的な思考の持ち主であることを意味している。質問者はまさに今最初の一歩を踏み出すかどうか勇気を試されているところだ。不安を解消する方法は一つしかない。頭で考えても無駄なのだ。人間は常にリスクを回避するよう考える動物なので、情報を集めれば集めるほど、不安を掻き立て、ネガティブ思考に陥る。Q2で答えたが、決断できる人というのは情報を徹底的に集めて、リスクを最小化できる道筋を見つけるのだ。リスクを0にすることはできない。一番大きなリスクは決断しないリスクで今の日本の大企業の多くがこの状態にあるから危険なのだ。

最後に最も重要なのは、手段と目的を混同しないこと。この場合プログラミング言語を身につけること(手段)と独立してフリーになること(目的)を一緒にしてはいけない。独立しなくてもプログラミング言語は身につけることができるし、プログラミング言語を身につけなくても独立はできる。

回答:フリーになるな。スペシャリストになれ!
不安があるのは正常な反応。一歩踏み出さないと不安は解消されない。しかし一歩踏み出せば新たな不安が出てくる。結局のところ一生このスパイラルが続くのだ。

ひとつ確実に言えるのは、フリーになってはいけない。自分が無二のスペシャリストになることを目指すことだ。どんな分野にも必ずスペシャリストになれる隙間が存在する。

例えば、iPhoneアプリ開発のスペシャリスト。ここに競争が多ければ、iPhoneアプリの地図アプリのスペシャリストと言ったようにどこまでも細分化して自分が勝てる領域を確保するのだ。スペシャリストになれなければ、どんなに技術スキルが高くても、いずれ老いによって若い世代に負けるだろう。これはどんな企業でも、勤め人でも独立開業者でも、技術の世界でも、飲食店でも普遍のルールだ。

iPhone や Androidアプリ開発という技術スキルが、20代、30代の将来を不安を持つ人々の中で、今から始めてスペシャリストを目指せるという意味では他のどんな分野よりも可能性があることは間違いない。今から石川遼くんになることは0パーセントだ。

宣伝になってしまって恐縮だが、RainbowAppsではそうした人々の後押しをしたいと思って日々活動している。Google Japan元会長の村上さんの講演などもあるので、興味のある方はぜひ一歩を踏み出す前の材料にしてほしい。

起業家 渡部薫 Twitter

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