特例公債法案を否決せよ

2011年07月28日 11:25

北村さんに賛成です。民主党政権にまかせていると、日本経済はボロボロになります。ゆっくり滅びるより、ショックを与えたほうがいい。同じ意味で、いま国会で懸案になっている特例公債法案を否決して、赤字国債の発行を禁止することを提言します。


こういう「焼け野原」政策には、多くの経済学者が反対すると思いますが、行動経済学で考えれば不合理ともいえない。人々はつねに現状の既定値を基準として行動するので、それがゆっくり変化しても行動を変えないが、大きく変化すると行動のパターンを改めるからです。戦略的に既定値を変える政策は、経済学者も提言しています。

アメリカでも国債のデフォルトが話題になっていますが、本当に日本政府が赤字国債を発行できなくなって既発債を償還しなかったら、何が起こるでしょうか。考えられるのは、次のような影響でしょう:

  • 政府のサービスが一部停止する

  • 長期金利が暴騰する
  • 国債保有者の資産が大幅に減価する
  • 国債を保有する銀行の経営が破綻する
  • 円が暴落する
  • 激しいインフレが起こる

もちろん大惨事ですが、一つだけいい影響があります。それは人々が「今のままでは生活が維持できない」という事実を体で知ることです。将来世代から900兆円以上の所得(租税負担)を前借りして財政赤字を埋めるネズミ講は、永遠に続けられないことは明らかです。長期的な財政破綻確率はほぼ100%であり、遅くとも10年以内には破綻すると予想されています。

もし2020年に財政が破綻すると、その結果は今よりはるかに悲惨なものになるでしょう。人口の1/3は年金生活者であり、破壊された経済を建て直す力はありません。日本企業の国際競争力は落ち、有力な企業は海外移転しているでしょう。国内に残っているのは小売や外食などの個人向けサービス業だけで、輸入インフレで食糧やエネルギーの価格が暴騰すると、多くの店が倒産し、失業者やホームレスがあふれるでしょう。所得の低い若年層では、餓死が出るかもしれない。

これは「もしフリ」で描いたストーリーですが、いずれ起こるなら早く起こったほうが被害は少ないし、対策も取れます。破綻が避けられないなら早めに破綻処理したほうがいいというのは、企業の破綻処理でも鉄則です。90年代には、銀行の破綻処理を先送りしたために不良債権は10倍以上に増えました。

「財政赤字は幻だ」というような政治家がたくさんいる現状では、財政も経済も再建できない。日本経済が実質的に破綻しているという事実を人々が体験し、手遅れにならないうちに抜本的な対策を取るために、ショック療法は意味があると思います。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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