周波数オークション実施の好機

2011年09月04日 10:31

日本経済新聞によると、900メガヘルツ帯での携帯電話事業への参入希望調査を総務省が実施したところ、携帯4社のいずれもが参入を希望したという。正式に免許が申請されたのち、2012年2月ごろに総務省が免許人を決める予定になっている。

記事によれば、「ソフトバンクの孫正義社長は「我々は800メガヘルツ帯を持っていない。次(900メガヘルツ帯)は絶対に獲得できると確信している」と強調しているという。イー・アクセスも「競合3社に比べ当社は周波数環境で大きく劣る。必ず割り当ててもらえるはずだ」と期待しているという。

なぜ、4社とも参入を希望したのだろうか。それは、この900メガヘルツ帯が、電波としての性質がよい「黄金の周波数」だからだ。電波の直進性が強くビルなどで反射されるギガヘルツ帯に比べて、900メガヘルツ帯は遠方まで届きやすいので、基地局の数を減らすことができる。ビルの中などにも侵入しやすいから、「ばりさん」のエリアが広がる。


総務省は、4社の中からどうやって免許人を選定するのだろうか。今のところは、比較審査方式しかない。この方式では、資金や技術といった、事業を遂行する能力が審査されるのだが、4社に優劣を付けるのはむずかしい。ソフトバンクがドコモより資金調達能力が劣るということもないし、イー・アクセスだけ基地局の設置計画があいまいという事態も想定しにくい。事業遂行能力に差がない4社から選定するのだから、どうしても、判断に総務省の恣意が入り込む可能性が高い。

上のような問題を解決するのが、周波数オークションである。オークション方式では、国有地の払い下げと同様に、入札額の多寡で落札者(免許人)が選定される。総務省の恣意が入り込む余地はないのだ。

今、総務省には周波数オークションに関する懇談会が設置され、検討が行われているが、まだ中間論点整理の段階で、このままでは900メガヘルツ帯の免許人選定に間に合わない。懇談会による小田原評定を即刻中断しオークション実施に向けて電波法の改正を急ぐとともに、それに合わせて900メガヘルツ帯の免許交付時期を遅らせるべきだ。

900メガヘルツ帯は「黄金の周波数」である。電波帯の中でもっとも経済的な価値が高い。この帯域で周波数オークションを実施すれば、数千億円規模の国庫収入が期待できる。総務省の恣意的判断にゆだねれば、この国庫収入をみすみす逃すことになる。震災復興に多額の資金を必要としているというのに。総務省の新しい政務三役のすみやかな政治決断に期待したい。

山田肇 - 東洋大学経済学部

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