中国投資と金融制度をどう考えるか?

小谷 まなぶ

 アジアの金融都市を目指す上海、上海市内にある主要な銀行のほとんどが、外国企業向けのサービスとしてオフショア法人口座の開設ができる。


 上海オフショア法人口座については、過去のブログにも掲載したが、海外(中国以外の外国 香港・マカオ・台湾を含む)から送金してきた資金に関して、オフショア法人口座内にある資金に対して課税しないという制度である。 
『上海のオフショア法人口座内で、人民元貯金が出来るか?』『また、外貨で貯金している資金を、人民元に両替することができるか?』という質問があるクライアントからあった。この話は、中国ビジネスを考えている方には興味がある話だと思ったので、アゴラで書くことにした。
 答えは、上海のオフショア法人口座は、基本的に人民元を除く外貨のみの取り扱いである。取り扱い通貨は、(アメリカドル、日本円、ユーロ、イギリスのポンド、カナダドル、オーストラリアドル、シンガポールドル、香港ドル)などである。
 2つ目の質問に対する回答は、上海オフショア法人口座内に貯金した外貨資金(人民元以外の通貨)を人民元に両替することは、現時点では出来ない。
 中国に個人投資をする際に、問題になるのが、外貨を中国にどのように持ち込み、そして、外貨を人民元に両替し、人民元投資をしたものを、もう一度、外貨に戻して、海外に持ち出すかという点である。
 しかし、このことは、中国は非常に厳しいルールを決めて監視している。外貨の持ち込みは、基本的には、中国に現地法人などを設立して投資するか、または、中国の商品を買付けて中国から輸出するための貿易資金として中国国内への外貨送金を認めているが、それ以外の理由で、大量の外貨を中国国内に持ち込むことを規制している。上海にあるオフショア法人口座であっても、中国国内の個人口座への送金に関しては、3ヶ月で13万USドル以内にすることと決まっている。(法人口座への送金規制はない)また、中国国内の銀行では、個人口座内で年間、外貨から人民元に両替できる総額は、5万USドルと決められている。この条件では、個人投資家が、中国国内への投資で、中国株や、中国国内の不動産を個人出資して買う場合には、送金規制の壁にぶつかることになる。
 上海オフショア法人口座の活用方法としては、現時点では、流通に関わる仕事をメインに使われることを望んでいるようである。

■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(オフィシャルブログ)