中国における日系製造企業の奮闘

小谷 まなぶ

 いまから10数年前の中国投資と言えば、中国の安い人件費を目当てに中国で製造工場を設立した日本の企業が多かった。2005年以降、人件費が急騰して、中国では、アパレルや雑貨商品を格安で作ることが難しくなってきた。生活用品でコスト競争が激しい商品は、中国からベトナムなどの東南アジア諸国へシフトしていった。


 しかし、中国国内の工場を閉めて、第三国に移転するにも、従業員の解雇の問題や、既存のクライアントの要望などがあり、いきなり、会社ごと第三国に移転することも出来ず、じりじりあがってくる中国の製造コストと戦っている中国にある日本の製造企業も少なくない。しかし、逆に言えば、中国人の収入が増え、消費意識が変わる中で、中国で製造している日本企業の日本向け商品の中国国内への内販に力をいれる企業が増えている。
 そこで、中国国内で内販する企業の設立が急務と考える企業が増えている。製造系の企業でも定款変更などをすれば、中国国内への卸業はできるが、インターネット販売や、店舗販売による直販などを行なうことができない。
 中国企業の場合、製造企業は、自社の製造した商品以外、販売許可がなく、直販などの店舗販売、インターネット販売などのB TO C 販売を行なうことが出来ない。
 そうすれば、新たに販売を主にした企業を新規に設立する必要がある。外国企業の場合は、外資企業を一から登記する場合、多くの手続きが必要になる。在日中国大使館で日本の投資企業の会社謄本の公証認定、投資資金が十分あるか銀行から資金信用証明などの書類の提出義務がある。
 しかし、すでに、中国に法人を持っている場合で、1期以上の決算を終えている企業で、余剰資金のある企業は、中国国内の企業から再投投資して、もう一つ別のジャンルの法人を設立することができる。
 製造工場から再投資して新たな企業を作ることを『外商投資企業』と言う。
中国で内販をする企業設立をする企業が、いま、急増している。製造コストを追い求めて中国に進出してきた企業も、いまや、中国の消費をターゲットにした製造、内販を目指すようになったのである。メーカーであっても、中国国内で市場マーケティングを行い中国で如何に日本ブランドを販売するかをテーマにして、日系企業は、生き残りをかけて、中国で奮闘している。

■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(公式ブログ)