オリンパス事件に就いて考えてみる!

2011年11月16日 15:40

オリンパス事件に就いて間違いなく言えるのは、日本の株式市場に取って極めて不幸な出来事が起こってしまったと言う事である。しかしながら、起こってしまった事は仕方ない。大事なのは問題の本質をきちんと理解し、対処し、再発を最大限防止する事。そして、この一連の行為を世界と共有し日本に対する不信感、偏見を払拭する事と思う。


先ず、第一に理解すべきは市場の一元化である。巨額の投機資金は株式市場に流入し、利鞘を求め入手した情報を判断材料に売り買いを繰り返す。ニューヨーク市場が閉じた数時間後、東京市場がバトンを受け取る。そして、同じ様に受け取ったバトンをロンドン市場に渡す。ロンドン市場も同様バトンをニューヨーク市場に渡す。この繰り返しに依って刻々と移り変わる状況変化に市場が適切に対応し、市場の健全性が保持されている訳である。

従って、東京市場が機能不全になる事は世界市場にダメージを与える結果となり、断じて許容されるものではない。上海が取って代れば良いと言う暴論も偶に聞くが、未だ中国は共産党一党独裁の共産主義国である。今の所、それは将来の夢に取っておくべきものだろう。

それでは、東京市場が正しく機能する為の必要条件とは一体何だろうか?

1.今回のオリンパスの上場維持若しくは廃止の判断含めた東京証券取引所の適切なオペレーション
2.不適切な行為があった場合の捜査当局の迅速で適切な捜査
3.捜査結果に従った司法の妥当で適切な判断

上記を推測する。言い換えれば世界が上記の結果、結末を注視していると言っても良いだろう。

次に理解すべきは、この事件がイギリス人の元社長によってロンドンで初めて告発されたと言う経緯である。告発に先立ち、ロンドンの大手会計事務所に不適切と疑われる企業買収の監査を依頼しており、監査内容は現地当局に提出済みと聞く。従って、不適切な取引の実態は全て現地当局によって捕捉されていると理解すべき。

一方、米国での取引実態は既にFBIが捜査済みと聞く。大体の所は既に捕捉されているのではないだろうか?

最近友人から教えて貰ったのだがドイツの高級紙、Spiegelでもオリンパス事件を報じている。私がドイツに留学していた30年前なら同紙が日本の一企業の事件をこれ程大きく報じる事等無かった。余談だがこれも市場一元化、グローバリゼーションの効果、副作用と言うものだろう。良い話であれ、今回の如き不祥事であれ、あっと言う間に世界を駆け巡り皆の知る所と成る。

最後は同様の経済犯罪である、ライブドア事件での刑事司法判断との比較である。ライブドア事件は既にすっかり風化してしまい、事件の中身は忘れられたか、そもそも最初から理解されておらず、唯単に堀江元社長は執行猶予無の実刑判決を受け現在刑務所に服役中と認知されているのではないだろうか?

所で、ライブドア事件の罪状とは私の理解する所では「有価証券報告書に対する53億円の不適切な記載」に過ぎない。これで2年超の実刑判決である。一方、オリンパス事件は金額も1,000億円を超え期間も20年の極めて長期に渡る悪質な会社ぐるみの犯罪である。ライブドア事件から類推して、極めて厳しい捜査、司法判断を予想するのは当然であろう。

一方、当局が意図してリークする情報を垂れ流すマスコミは真逆の話を報道している。内容を簡単に書くと下記の通りだ。

有価証券報告書を5年分のみ訂正し監査法人に協力を求める、となっている。つまり「法人としてのオリンパス」と「監査法人」は犯罪の対象とは見ていないという事である。この情報を好感しオリンパスの株価は連日ストップ高を付けている訳である。私ならずとも、一般国民は何故捜査の初動段階で早々に白判定したのか?或いは堀江元社長に比べて余りに寛大な当局の判断、対応に困惑しているのではないだろうか?言うまでも無く憲法により国民の法の下の平等は保障されている。

今後、捜査当局と司法が誤った判断を下せば日本国民はそっぽを向き、世界は日本に対し失望を感じ不信を膨らます事になる。日本の捜査当局と司法の真価が試されていると思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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