電波オークションのその次へ

真野 浩

今日、提言型政策仕分けで、「3.9世代から周波数オークションを実施し、収入は一般財源とすべし」という結論が出たことは、実に大きな転換だ。 いままで、再三に渡りパブコメや公聴会を開催しながらも、なかなか進まなかったのが嘘のようだ。

今回は、当面の700MHzの携帯電話の話だけれど、根本的なとこで電波資源(あえて周波数資源とは記さない)と使途業務の一元管理という枠組みは、オークションをしたとろこで変らない。 本当の意味での電波資源の解放と競争促進には、スペクトラムと業務の分離、利用効率の評価基準の明確化、割当済み資源の再割当のスキーム作りに取り組んで欲しい。 それによって、最近十数年の間に死蔵した死屍累々な電波を再活性できるかが、官僚の腕の見せ所ではないだろうか?


先日も、アゴラに投稿したが、例えば地域Wi-MAXの2.5GHz帯は、とても良いケーススタディになるのではないだろうか? 現在、割当済みの地域Wi-MAXは、両側に全国版のUQ-WiMaxと旧ウィルコムから事業継承したワイヤレスシティプランニングのXGPが展開されている。 この両者に挟まれた地域Wi-MAXは、CATV事業者を中心に47社近くが免許取得をしたけれど、事業開始した事業者は少なく、事業開始している事業者とて、その利用者数は、事業の継続に疑義のあるレベルだ。

そこで、例えば

  • 地域Wi-MAX事業者のバンドをオークションにより全国展開のBWA事業者に与える
  • 落札者は、地域Wi-MAX事業者の設備の撤去費用及び事業撤退費用を負担する
  • 落札者は、地域Wi-MAX事業者が希望する場合、MVNOでのサービス提供を行なう
  • 落札者は、地域Wi-MAX事業者の基地局設置施設/場所/回線の利活用を優先的に検討する

とする。

ここで、全国展開のBWA事業者は、UQ-WiMaxとワイヤレスシティプランニングなので、少なくとも競争環境は存在する。 彼らにとっては、なんだかんだ言っても、単調増加傾向にあるデータ通信の過密地域のオフロードには、帯域が必要だろうし、たとえ地方都市といっても、それなりに帯域消費の逼迫はあるのだから、プラチナバンドとは大差があるが、応札する魅力はあるだろう。(もし、彼らが本気で全国展開を継続するならばだけど…)

地域Wi-MAX事業者にとっては、特定の離散的エリアでしか使えないBWAではなく、他地域でも使え、且つ、他地域の顧客の流入動機につながるサービスが展開できることになる。
さらには、自らの経営判断だったとはいえ、電波資源という無料で得た無形資産の転嫁により、それまでの事業投資の損失分の削減が可能となる。

そして、何よりも消費者にとっても、地域でしか使えなかったなんちゃってBWAが全国展開で使えるし、BWAに都会で慣れ親しんだ利用者にとっては、地域展開はエリア拡張として、素直に喜ばれるだろう。

電波政策ビジョンの時に打ち出した、利用の見直し、再編、再配置を一過性のものにしないとともに、電波資源の流動化、オークションによる公平な参入評価等、このバンドのオークションは、将来の他のバンドに先駆けて実施する価値があるのではないだろうか?