いまどきの中国加工貿易

小谷 まなぶ

 中国におけるアパレル商品の生産に関して、免税手冊を入手して『来料加工貿易』で生産するのか、それとも、日本から生地などを一般貿易として中国に入れて、中国の一般工場で加工して、日本へ輸出したらいいのか?悩んでいるアパレル業者が多い。


 来料加工貿易を行なう場合、実は、小ロットでの生産では、物流コスト、通関コスト、また、管理リスクなどを考えれば、非常に難しい一面が多い、
 コストは、2回通関、保税区での保管、監管車による特別な輸送コスト、また、材料から算出して、完成品のロス率が高ければ、税関から指摘されるリスクなどを考えると、生産者に対するリスクが高い。アパレル生産依頼をする経営者から考えれば、大したロット数もないのに、毎回、こんな管理体制でビジネスするのは、きわめて苦しいと思う経営者も増えている。

 いっそのこと、一般貿易で、普通に『増値税・関税』を支払って。輸入をして、工場に材料を納品すれば、後から、『ロス率がどうだ。免税手冊の処理がどうだ』など言われることもなく、一回だけ通関するだけでよい。
 
 今、日本のオーダーに対応するには、最低ロット100枚程度からのオーダーに対応しなければならないことを考えると、大した量でもない輸入に、免税手冊の申請などを考えれば、クーリエサービスなどを使って、簡易通関をして、日本から材料を送って加工して輸出したほうが、手間がかからなくていいということが言える。
 また、コストを抑えるためには、超ローカルな町工場などに依頼する場合には、来料加工貿易などできる社内体制などない場合が多く、小ロット、コスト追求型の発注(超ローカルな小さい小回りの利く工場)の場合は、結論として、日本から必要な資材は、クーリエサービスなどの国際宅急便で材料を送り、ロット数がすくなければ、クーリエサービスで、日本に完成品を送れば、手軽で早くて簡単である。
 結局、小ロット、短期納品、通関手配に手間をかける人材がない場合には、来料加工貿易をする意味がどこまであるのか分からなくなっている。
 また、最近の傾向としては、一部の商品は、加工して、日本に送るが、残りの商品に関しては、中国の国内市場で販売しようとする動きも出てきている。

 中国向け商品、日本向け商品を、同じロット内で作る場合、資材調達も、一部は、日本から、残りは、中国から仕入れるなど、ばらばらに仕入れて、一つの商品を作り上げる場合で、しかも小ロットの製作となれば、答えは、一般貿易で材料を仕入れて、商品を加工することが簡単でいいという結論になる。
 
 今、日本向けのアパレル商品は、ニーズの多様化で、大きなロットの発注がほとんどなくなってきた。それを考えても、来料加工貿易から一般貿易へ移行して、中国で商品生産するケースが増えていくだろう。

■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(公式ブログ)