説明責任を果たさぬ野田政権

2011年11月30日 13:51

管前政権の特質は法の軽視であった。その極めつけは、浜岡原発の恣意的な停止と既存原発の検査強化である。この決定が、どれ程経済に留まらず、環境政策、外交そしてエネルギー政策に暗い影を落としているか図り知れない。

そして、看過出来ないのは前政権の失政を隠蔽する為に現政権が政策を歪めたり、国民に対する説明責任を放棄しているのではとの疑惑である。

これでは世界を呆れさせたオリンパス事件と変わらない。


問題視しているのは京都議定書からの離脱である

野田政権は29日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会(座長・野田佳彦首相)を開き、南アフリカで開会中の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)の対応方針を決めた。2012年末で温室効果ガス削減の義務づけ期間が終わる京都議定書について、次の約束期間をつくる「延長」には加わらないことを確認。仮に延長が決まった場合には参加を拒否し、先進国に削減義務を課す「京都体制」から離脱する姿勢を鮮明にした。

京都議定書はその名の通り、日本がリーダーシップを発揮し取り纏めたものであり、日本外交の勝利とも言える。従って、本来日本は離脱を考える各国を引き留める立場にある。

日本の離脱は変節そのもので、日本とタッグを組み、アメリカや中国と言った二酸化炭素大量産出国を説得し京都議定書の取決めを発展させようとした欧州諸国への裏切りとも言える。

今朝のBBC Newsは例によって淡々と事実関係を説明するに留めているが本音は不明である。

こんな大事な決定をするのに国会で審議したとも思えない。国民に対する説明も皆無である。民主主義が機能しているとはまるで思えない。

一昨日の記事で説明した通り、現政府は理論的裏付けのないまま、菅前首相の脱原発を継承している。再生可能エネルギー等は所詮絵空事に過ぎず、原発に依って本来もたらされたはずの電力は化石燃料で補完されるしかない。

物理化学(熱力学)の基本であるが化石燃料に依る熱の発生は二酸化炭素の発生を伴う。

C+O2→CO2+熱(エンタルピー)

一方、原発は核反応から発生するエネルギーを利用するもので、有名なアインシュタインの特殊相対性理論、

E=mc2詰まりは、原子核反応により消失した質量(m)×光速度(c)の 2乗を乗じたエネルギーを獲得する。早い話が質量0.7gが消失する事で得られるエネルギーが広島に落とされた原爆と同じという事であり、二酸化炭素の発生は伴わない。

長々と説明したが、原発の停止は二酸化炭素の大量発生とトレードオフの関係にあり、日本は京都議定書順守が最早不可能になったと言う事であろう。

それにしても、今回の政府決定は泥縄、なし崩しの典型であり、悪しき政策決定としか思えない。原発から化石燃料に舵を切る事に依る得失分析を行い国民に判り易く説明すべきである。

個人的な印象としては、メリットはゼロ。ディメリットは下記である。

○化石燃料輸入の追加コストが発生し結果電力料金の値上げと貿易収支の悪化に直結する。
○京都議定書離脱に依る日本政府の信用失墜
○環境先進国日本のイメージ失墜

余り風呂敷を広げるのは好みではないが、日本国債金利の上昇や、日本外交の機能不全を危惧する。

仮に私の指摘が正しければ、政府政策は管前政権失政隠匿の為に、本来あるべき政策を歪めたという事になる。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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