沖縄駐留米軍の意味と島国日本

2011年12月04日 22:58

常識的過ぎて面白くないかもしれませんが、沖縄の基地問題について私見を書きたいと思います。


沖縄の米軍基地はなぜ重要か

沖縄の米軍基地が重要なのは、アメリカが中国に睨みを利かすのに必要だからである。仮に沖縄に米軍基地がなくなった場合、長期的には沖縄が日本の一部であり続けることも危うくなる可能性がある。これは脅しではない。

アメリカ軍が中国のミサイルの射程外のオーストラリア北部への駐留を始めるのは偶然ではない。 アメリカがアジアから引けば、シーレーンを守れず、石油などの重要資源の輸入に支障をきたす可能性もある。

国民の理解

しかし、一般人の理解は違う。沖縄の基地はアメリカのために土地を提供しているものだ、という誤った理解が一般的だろう。米軍基地が自分たちにとってどういう意味を持つのか、という認識や理解がないのはなぜか、というと、政府が沖縄の米軍基地が日本にとってどういう意味を持つのかを公言しないからである。単なる迷惑施設として米軍基地を見ている日本人は多いだろう。

なぜ政府は沖縄の米軍基地の意味を説明しないのか

これは、現在、沖縄の基地の重要性の根源的理由である、中国の脅威を明言することは、政府が難しいと考えているからである。 中国は日本の最大の貿易相手国として重要であるが、レアアースの問題でも見られるように、中国の外交は国際的なルールに沿ったものとは言えず、予測が難しい。下手な刺激を与えない方が得であるという考え方にも一理ある。

しかし、これは中国という国を理解していない考え方ではないか。南沙諸島の領有権問題やイランの石油利権の獲得で見られるように、中国という国は、自分より格下の国には理不尽な主張をし、場合によっては国際ルールをポケットに突っ込んでしまうところがある。チベット問題を見ても少なくとも現在の中国は紳士的な国とは言い難い。 自らが弱腰に出れば、決して自らに有利にはならない。ここはアメリカや他の東南アジア諸国と結んで、中国を抑え込むのが正しい戦略だろう。中国と渡り合うには、友好というよりも多国間の枠組みを利用した力の外交をすべきだ。 

その意味で日本がTPPに参加することは、戦略的にも正しく、TPPに参加する意向を示した日本としては、アメリカと結ぶことで中国抑え込みに舵を切ったのだから、戦略に一貫性を持つべきだ。外交は力と力のぶつかり合いであり、残念ながら正義を主張しても意味がない(このことは相対的な国力の低下の影響が顕著な北方領土問題の推移を見れば明らかだろう)。

パワーバランスで物事は決まってゆく。仮にアメリカが太平洋地域に関心を失い、沖縄から引き揚げることになれば、日本は中国にシーレーンを支配されてしまう。逆に中国はパワーで勝てないとなれば、事を構えない利口な国である。多国間の枠組みの中で中国と渡り合うのが正しいやり方であることは間違いない。こういった外交の結果として中国とも良好な関係が築けるのではないか。

島国という特殊性

日本の世論が論理より感情で動くのは、島国という特性が大きい。他国と国境を接する国であれば、他国の脅威が身近に感じられるが、日本は島国であるが故に鈍感になり勝ちである。しかし、中国は海軍を増強しており、日本全土は既に中国のミサイルの射程に入っている。こうした状況で、普天間移設をこれだけこじらせていることは、日本が如何に能天気で危機感の欠如した国であるかをよく表している。

辻 元

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