親米か、親中かで政界再編すべき

山口 巌

朝日新聞が報じる所では、前原氏が小沢氏の持論を真正面から批判した様である。

民主党の前原誠司政策調査会長は12日、東京都内で講演し、日本・米国・中国3カ国の関係について「党内に『日米中は正三角形だ』と言った方もいたが、同盟関係を結んだ国とそうでない国との関係が正三角形であるはずがない」と述べた。「正三角形」論は小沢一郎・民主党元代表の持論で、小沢氏の主張を批判した格好だ。さらに「地域の安全保障のため、米国との関係をさらに強固にすべきだ」とも語った。


昨日の記事で説明した通り、日本の今世紀の安全保障のパートナーを従来同様アメリカに求めるのか、或いは中国にするのかは本来国論を二分する議論である。従って、今回の前原氏の問題提起は好ましいものと理解している。

問題は、一昨年の政権交代以降二大政党の体制を取っているものの、民主党、自民党両党に、まるで高級な霜降り肉の、赤みと脂肪の如く、親米派と親中派が錯綜し国民に取って明確な対立軸が存在しない事である。

喫緊の沖縄問題を例に挙げれば、親米路線を継続すると言う事であれば、基地問題の早期解決はマストであり、国の威信を賭けて前に進めて行かねばならない。

一方、親中路線に舵を切ると言う事であれば、基本、基地は不要となり基地問題は解消される。沖縄に残るのは経済問題のみとなるが、最早沖縄を特別扱いする必要はなく、夕張と同じ対応になるのではと思う。

FNNが報じる所では、現政権への不支持率が支持率を大きく上回っている。

FNNが行った世論調査で、野田内閣を「支持する」と答えた人は35.6%、一方、「支持しない」と答えた人は51.6%と、「支持」と「不支持」が初めて逆転した。自民党の茂木政調会長は、「菅前政権があまりにもひどかったので、多少なりとも良くなるとの期待があったかと思うが、この期待が全くこの100日間でうせた。その結果だと」、「総理の指導力、そして国民へのメッセージが全く見えない」と述べた。自民党の谷垣総裁は、「重要な問題点を適切に処理していく資質、能力に乏しい感じを多くの国民が持たれているのではないか」と指摘したうえで、「消費税率の引き上げをするなら、きちんと説明して、問題点を示しながら信を問えという考え方の人が増えている」との認識を示した。

国民は三度目の正直を期待して野田首相を見守って来たと思う。しかしながら、この世論調査の結果は、仏の顔も三度迄と言う事であろう。こういう事なら、時間を無為に過ごす事なく、早めに衆院解散・総選挙を実施し、民意を問い、新たな政権発足に動くべきである。そして、選挙と併せ、国民に取って判り易い対立軸のある政界再編を行うべきである。

対立軸は、余り多いと混乱するので2点のみに絞り込むのが良いと考える。

第一点は、上に述べた親米か、親中かである。

二点目は、社会保障の大幅削減か現状維持かである。

私が最も日本にあるべきと考える政党は、親米(日米同盟の継続)+社会保障の大幅削減(公務員改革を基軸とする行政改革を断行、小さな政府を構築する)である。

そして、近い将来EUを離脱する事になるであろうイギリスとも提携し、日本、アメリカそしてイギリスで市場重視の、海洋国家連合を形成すると言うものである。

余談となるが、こういう大方針が固まっておれば、オリンパス事件に対する当局の対応も東京株式市場の価値を毀損させてはならないという事で、随分異なるものになった筈である。

尚、他に考えられる政党としては、親中+社会保障の維持(大きな政府、社会主義)、親米+社会保障の維持(大きな政府、社会主義)等が挙げられる。

次回の選挙では先ず政党間の対立軸を明確にしたうえで、今世紀の日本の安全保障を担保しつつ、喫緊課題の債務問題を如何にして解決するかに就いての政党毎の政策を充分に議論すべきと考える。

山口巌  ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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