温暖化防止は人類の利益になる

2011年12月14日 22:53

あまり温暖化について書く人もいないようなので、議論の活性化のために「地球温暖化の防止は人類の不利益になる」という池田先生の論説について思うところを書きたいと思います(恐らく池田先生は、議論の活性化のために過激な主張を書かれたものと思います)。 


温暖化と飢餓や戦争は強く関係している

飢餓や戦争は地球環境の悪化によっても引き起こされます。アフリカ諸国の飢餓問題は、旱魃などの環境変化の影響が大きい。また水資源の争奪が激しくなれば紛争も増加するでしょう。飢餓や戦争といった問題も温暖化と不可分の問題であることが理解されます。飢餓や貧困、戦争の方が大事だから温暖化の防止は優先順位が低いというという論理は誤りです。

温暖化懐疑論の疑問点

池田先生のブログ記事「地球温暖化と宇宙線」(http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51732805.html)では、宇宙線の変動が温暖化の原因という話が紹介されています。宇宙線と低層雲の関係については認めるとしても、20世紀以降の急激な温暖化を説明できることを支持している気象学者はどれだけいるのでしょうか。宇宙線の量とアルプスの気温の相関について図が出ていますが、これは紀元0年から1900年までの図でこれに相関があることは確かです。しかし、1900年以降のデータがないというのは極めてミスリーディングです。なぜなら急激な温暖化は1900年以降に起きているからです。
 
実際、このブログで紹介されているSvensmarkの論文http://www.dsri.dk/~hsv/prlresup2.pdfを見ても80年代半ばからの気温と宇宙線の変動の乖離が目立っていますし、著者も温暖化の主因は宇宙線の変動だと主張しているわけではありません。 著者の主張はずっとモデストなものです。

温暖化の主な原因が二酸化炭素濃度の増加であるという一般的な説には異論もあります。しかし、二酸化炭素説を疑わしいと言い、そういった異論を殊更に取り上げることで、二酸化炭素の増加から目を逸らすというのは科学的な態度とは言えないでしょう。
既に二酸化炭素の増加がどのように温暖化に寄与するのか、定量的な解析が進んでいるのですから、正当な科学的な理由なしに、これを疑わしいというのはミスリーディングです。
統計学を信じるのなら、10年で0.2℃の平均気温の上昇を見込んで、それをどのように小さくしてゆくのかという対策を考えるべきであり、正当な信ずべき理由なしに、気温はそのうち下がるだろうと期待するというのは、どう考えても科学的ではありません。 

温暖化の影響評価

我々人類も生態系の一部を構成しており、生態系の恩恵で生きています。こういうことは都会に住む人たち、自然に関心を持たない人たちには、日頃、意識に上ることはないでしょう。多くの人たちにとって、2-3℃の気温上昇は、大したことではないように感じられることでしょう。しかし、これは想像力の欠如ではないでしょうか。人間以外の生物は裸でエアコンやストーブは使えません。平均気温で1℃の違いは、ちょうど、東京と宮崎の違いです。IPCCが今世紀中の最悪のシナリオとして挙げている6℃となると東京と沖縄ほどの違いです。もし、2-3℃の平均気温の上昇が起これば、生態系は著しいダメージを受けるでしょう。生態系がダメージを受けるということは食糧生産や、水資源の枯渇といった我々の存亡に関わる問題を惹起するでしょう。そもそも、ひどく自然環境を改変して人間が幸福に暮らすのは可能なのでしょうか。

現実に大規模な松枯れやナラ枯れといった現象が全国的に報告されていますhttp://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/naragare.html。温暖化との関連は不明ですが、樹木が何らかのストレスで弱っていることは確かでしょう。こういった予兆を無視することはよくありません。

温暖化対策より経済発展が大事だ、という考えも分かりますが、その理由づけが、強引なものであっては、誰も付いてこないでしょう。また温暖化の問題を経済問題と考えるのは無理があるでしょう。

追記 Svensmarkの説は、その後の検証で否定されています。
http://www.atmos-chem-phys.net/8/7373/2008/acp-8-7373-2008.pdf

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