「一喝!」すべき、馬鹿げた野党とマスコミの危機管理

北村 隆司

野田首相が、金正日総書記の死去を伝える特別放送を待たずに、街頭演説を優先させた事や、山岡国家公安委員長が安全保障会議に欠席したことを、怪しからんとマスコミと野党が騒いでいる。

呆れるのは、山岡公安委員長がマスコミ、野党からふくろ叩きにあった翌日に、「報告を差し控えた」と、警察庁の片桐長官が実質的なサボタージュを自白した事である。山岡氏が閣僚適格者だとは思わないが、この警察庁の無能振りこそ日本の構造的欠陥である。

危機管理に与党も野党もないが、重要な問題に触れず、週刊誌的な話題に走るマスコミと野党の馬鹿さ加減に、「一喝!」したい。


この 馬鹿さ加減の背景には、2001年に起きた「愛媛丸事件の際、第一報が入ってから1時間半もゴルフを続けた森元首相事件が、後を引いているのかもしれない。

情報の役割が増した今日、世界のマスコミはその倫理規定の筆頭に、「真実性」「正確性」「客観性」「普遍性」「公正」「市民への責任を掲げた。山岡公安委員長を糾弾した日本のマスコミは、この倫理規定の全てに違反しており、この様な「がさねた」に危機管理が踊らされては堪らない。

危機管理の要諦は、正確で迅速な情報の把握と的確な判断であり、首相の居場所とか関係閣僚が会議に遅れたなどと言うのは、枝葉末節な問題である。むしろ、IT先進国を目指すわが国の関係閣僚が、時間や場所を問わず機密裏に情報交換が出来る装備を持って居ないとしたら、その方が問題である。

情報や通信の管理と並んで重要なのが、首相の身辺警護である。首相の専用車には、各国の首脳の専用車に備えられている様な装備が備えられているのであろうか?

米国の大統領専用車の詳細仕様は秘密だが、完全機密の情報、通信装置は勿論、防弾装備の完備した車体やパンク不能のタイヤに加え、防爆型燃料タンク、バイオテロに備えた気密室と酸素供給装置や催涙弾発射装置、煙幕などに囲まれても運転出来る赤外線装置など、危機管理に必要なあらゆる装置が完備されている。又、出張する際に専用車が先回りして待機している。

首相の地方出張の際に乗る乗用車が、現地で手配した高級車だとしたらゆゆしき問題である。首相専用車に情報と安全の装備をする事は、近代国家の常識であり義務である。決して贅沢ではない。日本の総理の資質は、その様な装備をするほど高くないと言う論議もあるが、これは反論にも値しない愚論である。

一方、地位に相応しい資質を持った人物を選ぶ権利と責任は国民にあるが、今回の警察庁の無能ぶりでも判る通り、日本の統治機構は機能しなくなっており、早急に仕組みを変える必要がある。

危機管理で恐ろしいものに、「背広を着た野蛮人」がある。失言で問題になった閣僚を「アンタ」呼ばわりする野蛮人が混じるマスコミに、第五列が入り込んで居ない証拠はなく、首相官邸内でぶら下り取材を許すなど危険極まりない。

世界各国での諜報活動が激化している今日、盗聴器などの検査もせずに、ホテルで政治的な重要会議を開いたり、政党の領袖の密談を料理屋でやる日本では、情報はじゃじゃ漏れと考えるべきであろう。
日本の危機管理意識の薄い事は、日本が安全である事の裏返しで喜ぶべき面もあるが、東日本大震災でも学んだ様に、想定外のもたらす結果ほど恐ろしいものはない。

どじょう首相も、想定能力の著しく劣る官僚制度への依存をいい加減にやめないと、政治生命だけでなく、本物の命を失う危険も多いにある。

北村隆司

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