東京電力が酷い事になっている

2011年12月25日 11:54

BBCが例によって、東京電力の今回の値上げを、淡々と報じている。
そして、記事の中で、気になるのは下記の箇所である。

The combination of all these factors has raised concerns about whether it can manage to generate enough revenue to meet all of these expenses. Earlier this week, local media reported that the government was planning to take as much as a two-thirds stake Tepco. This would result in a de-facto nationalisation of the company.

これ等を勘案すると、値上げによって果たして必要とする費用の全てを、賄う事の可能な収入を得る事が可能なのかという懸念が生じる。日本政府は、今週初め東京電力株式の三分の二を取得する計画である事を発表した。これは、実質国有化である。

私は、震災の翌月、アゴラ記事、東京電力をどうするか?で東京電力の将来を危惧する内容を発表した。

そして、大変残念な話であるが、私の予想が全て当ってしまった。勿論、決して好ましい話ではない。

具体的にどうなったか、マスコミ情報をベースに纏めてみる。

先ず、公的資金(国民の血税)を1兆円投入。次いで、金融機関に1兆円の追加融資要請(要請とは言いながら、金融庁に頭上がらない金融機関に従う以外のオプションはない)、そして今回記事にある対ユーザー、値上げを要求である。

値上げ申請を行うのは国有企業であり、審査するのは政府であるから100%認可される。正に猿芝居、チェック機能不在である。

それでは、一体何が問題であるというのであろうか?

先ず、第一に考えなくてはならないのは、東京電力に限らず電力事業は地域独占であり、国際的に割高な電力料金が認可されれば、事業者が利益を得る事は当たり前の話で、従来官僚は許認可権を盾に各種利権をむさぼり尽くして来た。

従って、今回の東京電力の実質破綻を契機として、この腐臭漂う利権構造にメスを入れるべきなのである。しかしながら、実態は、国有化により、更に腐敗構造を堅固にし、拡大するという真逆の行為に走っている。

誰が被害者なのか?は明らかであろう。

利権の原資を、電力料金の値上げで負担させられる国民、そして電力の大口需要家である製造業を中心に一般企業である。次に、実質破綻した東京電力に無理やり融資をさせられる金融機関である。

それにしても、彼らの利権に係るコストを消費者にそのまま転嫁すると言うのは何という浅知恵であろうか。それでなくても製造業は、円高と、政府の訳の判らぬ規制に、嫌気がさしており、海外移転を真剣に検討している。

この構造を見れば、今後電力料金は青天井に上がる事は明らかで海外移転は確実に加速する。早い話、消費者不在であり、電力料金の値上げによる収入増は、絵に描いた餅に過ぎない。

製造業が海外に移転すれば、結果、多くの雇用が消失する事になる。政府は製造業に取って代る、新たな雇用創出の計画を持っており、実行に移すのであろうか?そんな話聞いた事がない。

ここまで来てしまっては、打つ手が限られるのは事実である。

しかしながら、発電送電を分離し東京電力の好き勝手な値上げは牽制すべきと思う。発電部分に競合があれば、技術革新により発電コストを下げ、ビジネスチャンスを掴もうとするインセンティブが働く筈である。その為には、送電部門を分離・独立させ、新規参入者を東京電力と平等に扱う事が必要である。

4月のアゴラ記事末尾を参照して、この記事の結びとする。

電力の安定供給はマストだが、これを人質に東京電力含め、全てを温存する様な愚行を行えば、間違いなく失われた20年の後に、死に至る10年を迎える事確実である。ここが日本の正念場ではないか?

山口 巌  ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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