2012年を予想する --- 中村広二

アゴラ編集部

来年は政治的なイベントがたくさん待っている。日本の財政や消費税も気になるところだが、海外に目を向けると民主主義を掲げる主だった国、米国、ロシア、台湾、韓国、フランスがトップの選挙を控えている。また中国も代表が新世代に入れ替わる。極東アジアで大きな変化があるやもしれない。しかも世界的に経済は回復する兆しもなく富の差を紛糾するデモも各地で行われている。ひとつ間違えれば世界は空転し、戦争を大衆の熱狂から起こそうとする勢力が勃興する可能性もないわけでないだろう。
日本は完全に経済が手詰まってしまった。大きな民意を背景に選挙で政権交代を成し遂げた民主党政権でさえも閉塞感を打破できないでいる。細かな前政権から受け取った法令の修正は地道に行っているが、世界の決定のスピードに追いつけず意思決定の遅さが経済をさらに悪化させ、予算を将来の借金でまかなう負の連鎖から抜け出せないないでいる。


日本経済は明らかにギリシャと同じような危機に向かっているような気がする。経済規模は違いすぎるが国家破綻しないと明言できない。マネーは今もスキあらば、日本から富を強奪しようとあらゆる手段を講じて先制してくるだろう。今までは日本製品の高い技術力と付加価値で円を売って唯一の対抗策で防戦してきたが、おそらくこれも直ぐに無効な手段となる。世界市場で円が売れなくなる日も近い。なぜなら政府の予算が明らかにアンバランスだからだ。利子をつけて返せないものに金を貸すものは世界にはいない。

月並みだがやはり、日本は直ぐにでも国内を整備すべきだ。それが2012年に日本で起こる危機かもしれないことに対する未来への予想であり対抗である。これは以前からアメリカから世界のマーケットから突きつけ言われ続けてきたことだ。海外から外貨を稼ぐことはこれ以上すっぱり諦める。成長産業としての工業は、自動車も電子機器も工作機械も世界が主戦場となっていて国内事情は重要性はなくなりつつある。つまりは人員も海外での調達が慣例になるだろうし、いつまでも国内で人材を確保できなくなるだろう。国内での雇用が海外での展開で足かせになっているのは事実だと思う。政府は思い切って企業の海外進出を自由化し規制をなくしてしまう。企業による自由度を高める替わりに、高いに税金をかける。国内産業と保護と崇めず海外の企業並みに税をとる。これが日本の閉塞感を打破するひとつである。これによって円高対策としての円為替介入をしなくてもいいかもしれなくなるし、今よりも強欲な市場の攻勢への有効な防衛手段になるのではないか。

国内を整備するという点で私たちはもうひとつ為すべきことがある。規制緩和をして国内の食料自給を高めること。そして再生エネルギー産業を徹底的に興すことである。これは内橋克人氏が唱える経済政策を採るべきだ。政府は今からでも内橋克人氏の話を聞きこれはトップダウンで実行すべきだ。民主党が掲げてきた地産地消を実践することであるし政権の選挙で掲げた当時のマニュフェストと何ら矛盾はないと思う。

2012年日本は国外に対して企業の自由化を進め大きく国を開き、国内に対してはもうひとつの経済の受け皿である地元に根付いた雇用と食料、そしてエネルギーの創出を起こす元年になると予想します。

中村広二(自営業・システムエンジニア)

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