2012年はこうなって欲しい

2011年12月27日 12:09

アゴラのテーマは「2012年を予想する」ですが、私は予想よりももう少し主体的に、「こうしていきましょう」と提案したいと思います。

私は今年の2月に自分のブログで「B to Cの関係をどうやって再構築していくか」というエントリーを書きました。この趣旨を数行で書くなら、

日本の広告は選挙カー戦術だった。これは「刷り込み」であり、広告主(=事業者)と消費者の間に信頼関係が生まれない。インターネットの時代になって両者の距離感が変わり、信頼関係が構築しやすくなったのだから、そろそろBとCの関係を再構築していくべきだ。

というものです。ではその再構築には何が必要なのでしょうか。3つの事例で具体的に考えてみたいと思います。


まず、遺伝子組み換え食品の周辺からです。この数カ月、遺伝子組み換え食品は今までになく注目を集めました。それはTPP関連で、TPP反対派は「米国の遺伝子組み換え農作物が入ってくると、日本の農業が壊滅する」という主張を展開しました。この主張を聞いて、私は「その可能性はゼロではない」と思う一方で、「それはあまりにも受動的過ぎる」とも思いました。表示さえされていれば(これは重要ですが)、消費者には選択の自由があるのです。組み換えが嫌なら、非組み換えを買えばよいし、それが非組み換え農作物を生産する農家を応援することにもつながります。これは組み換えに限りません。スーパーに、5キロ500円のカリフォルニア米と、5キロ3,000円の国内産コシヒカリがあったとします。果たしてみんなが米国産を購入するでしょうか。どちらを選ぶかは消費者の自由なのですから、「国内の農業を育成していくためには国内産の米を買わなくてはならない」と考えることはできないのでしょうか。農家の応援は、消費者レベルでも十分に可能なはずです。

次に、私が応援している横浜F・マリノスの事例です。今月、マリノスはファンケル社とスポンサー契約を結びました。その際、多くのサポーターたちがツイッターで「ファンケルのツイッターアカウントをフォローしよう」「ファンケルに感謝しよう」とつぶやきました。私はこれを見ていて、マリノスサポーターはきちんとスポンサーとの関係を構築していこうとしていて素晴らしいなと感じました。こうした動きはマリノスだけではないと思うのですが、サポーター達がチームや選手だけではなく、チームをサポートしてくれているスポンサーを応援するという、視野の広さに感心しました。私自身は日頃から「健康食品はほとんど役に立たない。コラーゲンを食べても肌はプリプリにならないし、酒を呑む前に飲んでも『ウコンは無力』」と力説している立場なので、ファンケル社の健康食品を応援するわけにはいかないのですが、サポーターの皆さんがファンケル社を応援していることについては非常に好意的です。もちろん私も、横浜でお弁当を買うときは崎陽軒のシウマイ弁当だし、日産車しか所有したことがありません。

続いて、昨日ダイヤモンド社の書籍オンラインに掲載された香山リカさんの「「売れなくてもよい本」の存在を認めること。これが本当の教養ではないか」というエッセイを取り上げてみます。

このエッセイで、香山さんは本が売れるか売れないかは、内容の良し悪しではなく、出版社が売るか売らないか、である、と嘆いています。そして、

「売れないけれど良い本」の存在を認め、そのジャンルが絶滅しないように守る必要はあるのではないでしょうか。

と書かれています。私は香山さんの主張に賛成なのですが、では守るためにはどうしたら良いのでしょうか。すぐに思いついたのは非常に簡単な話で、本を読んで「良い本だな」と思ったら、ツイッターでも、ブログでも、Facebookでも、amazonの書評でも、どこでも良いから「面白かった」と書けば良いのです。私は今月「総統閣下はお怒りです」という本を出版しましたが、読者の皆さんに書いていただいたつぶやきをTogetterにまとめてみました。

「総統閣下はお怒りです」感想集

すでに2,000近いアクセスをいただいていて、その効果なのか、amazonでの売れ行きも好調のようです。皆さんの声は、間違いなく書籍の応援につながります。無名の著者が本を書く機会はそうそうありません。その本が売れなければ、以後、出版する機会は二度となくなってしまうかも知れません。本を買い、良い本だと思ったら、その感想を情報発信し、その本が売れることに協力する。こうした、著者と読者の信頼関係の構築も必要だと思います。

3つの事例をあげてみましたが、事業者と消費者の距離を縮めることが、ネットの持つ機能の一つなのですから、みんながそれを使えるようになった今こそ、BとCの関係を意識的に再構築していかなくてはならないと思っています。そのためには、事業者はもちろん、消費者の皆さんの意識改革も必要だと思っています。

良いものを応援する。小さいものを応援する。新しいものを応援する。それが、社会に活気をもたらすのではないでしょうか。私たち自身でも可能な景気対策だと思います。


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