オリンパス事件への感想

2011年12月30日 12:33

今年最後のアゴラ記事を、このテーマで書く事にした。理由は、この事件への当局対応が焙り出すものが、タガの緩んだ現代日本を象徴していると思うからである。


先ず、第一の参照例として、朝日新聞昨日記事の、 「オリンパス菊川前社長「損失だいぶ減る」 3社買収巡り」を取り上げる。

通常、当局は世論誘導の為、起承転結が明瞭な情報をメディアにリークしていると聞いている。従って、メディアは、その内容をあたかも取材したかの様に垂れ流せば、事足りて来た訳である。

しかしながら、オリンパス事件に就いては、当局は当初より余りやる気はなく、リークが少ない。従って、朝日新聞の如き真面目な新聞社は、情報の空白を埋める為独自取材を敢行し、取材力や構成力の欠如から、上記、「金魚の糞」の如き記事が続く事となっている。

他のメディアは、こういう手間暇かかる仕事を忌避している様である。従って、情報量が極端に少ない。

オリンパス事件の焙り出したものの一つは、劣化し最早ジャーナリズムとしては機能しなくなった、メディアの実態と言う事であろう。

第二は、相も変らぬ「シナリオ」ありきの当局捜査の実態である。過去記事、「オリンパス事件の焙り出すもの」を、改めて読んでみて失笑を禁じざるを得ない。私の予言が全て的中しているからである。

上場は維持する
基本民事事件として処理する。刑事はスケープゴート以外やらない
事件は限りなくコンパクトに処理する。具体的にはオリンパスのみに絞り過去5年のみを対象とする

そして、極めて付けは末尾の下記皮肉である。

さて、スケープゴートを含めた事件関係者の逮捕であるが、事情通に拠ると年内はないとの事である。理由は一旦逮捕してしまうと当局担当がクリスマスや年末・年始の休みが取れず、墓参りとか行けなくなるからなのだそうだ。日本はつくづく平和な国だと思う。

何度も繰り返しとなって恐縮であるが、どうしても看過出来ないのは、とても法治国家とは思えぬ、ライブドア事件との落差である。

ライブドア事件は、畢竟53億円の粉飾事件に過ぎない。しかるに、会社は破綻に追い込まれ、堀江元社長は有無を言わさず、2年6ヶ月の実刑判決を受けている。

一方、オリンパス事件はマスコミ報道によれば、20年以上の長期に渡り千億円単位の粉飾が継続して行われている。この間、役員は何事もなかったかの如く、高額の役員報酬を受け取り、会社を去る時には更に高額な退職金を受領している。普通に考えれば、ライブドア事件よりも遥かに悪質と思うのである。

多分、オリンパスは今後資金力のある会社に増資を引き受けさせ、まるで何事もなかったかのように幕引きを図る展開になると思う。

第三は、例によって欧米金融機関に対する当局の弱腰である(この部分は、私の得た、限られた情報による飽く迄個人的な印象である事、留意願いたい)。

先月、このブログ記事の様な内容がネットに氾濫していたと記憶している。その後、どうなったのであろうか?例によってマスコミ報道は尻切れトンボで要を得ない。

「証券取引等監視委員会は17日、オリンパス株の取引をめぐり米ゴールドマン・サックスをインサイダー取引の疑いで調査を開始したと発表した。オリンパス株をめぐっては、マイケル・ウッドフォード氏の社長解任前日にレーティングを引き上げると同時に、大量の空売りを仕掛けており、さらには上場維持観測が広がった前日に買戻しを行うことで22億円もの利益を不当に得たとされている。証券取引等監視委員会では外国証券会社による日本株式市場の操作により、多くの投資家の利益を毀損させたとして、今後は違法性を厳しく追及していくとしている。」

本来、この辺り、監督官庁トップの法務大臣がしっかりと監督、指導すべきなのである。しかしながら、 「死刑執行、19年ぶりゼロへ 法相、年内命じる動きなし」、ではお話にならない。法務大臣がこれでは、敵前逃亡、職場放棄の誹りを免れない。

それとも、野田政権は、禁じ手の「粉飾決算」でごまかす来年度予算案に既に舵を切っており、オリンパス事件は恩赦と言う事であろうか?

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役


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