【GEPR】低線量被曝・健康への被害を警戒する説、疑問視する説—一般市民に参考となる代表的学術論文2本の紹介

アゴラ編集部

アゴラ研究所は、1月からエネルギー研究機関のシンクタンクのGEPRを運営しています。

GEPRは、低線量被曝に関する重要な論文をレビューし、福島第一原発事故による放射線の不安に直面する市民の皆さんに対して、参考になる正確な情報を提供しています。

専門的になりますが、低線量被曝の健康への影響について、専門家の参照の多い論文で、一般向けに紹介されているものを2本をご紹介します。


しきい値なし直線(Linear No-threshold)関係は放射線の生物的および実験データと矛盾する(論文要旨和訳)

低線量被曝は健康に悪影響があるというLNT仮説があります。この論文では、これまでの疫学及び生物学アプローチをレビューし、LNT仮説が非現実的であることを指摘しています。冒頭部分の結論のみを翻訳しました。同論文でサーベイしている167本の論文のうち、LNT仮説を明確に肯定しているのは、全米研究審議会のBEIR7(Biological Effects of Ionizing Radiation)報告書(BEIR 2006)とICRPの第99号勧告(2006)だけです。

そのBEIR7は翻訳があります。

BEIR7報告書 (日本語翻訳) 一般向けの概要
英語版

NPO法人市民科学研究室が翻訳しています。これは米国の政府系の全米研究審議会がまとめ、低線量被曝のLNT仮説について、否定はできないと主張したものです。

低線量被曝の議論を概観するために以下の記事をGEPRでは提供しています。

放射線の健康影響 ― 重要な論文のリサーチ

またアゴラ研究所代表の池田信夫は上記の議論をふまえた福島原発事故の概観を提供しています。

原子力発電のリスクと経済性の再検討

市民の皆さんがいたずらに心配することなく、世界の先人たちの知恵を参考にしながら、放射能に向き合い、正しい判断を下すことをGEPRは願っています。

「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた」(物理学者・寺田寅彦)