目的達成における2つの手法の「違い」を知る意味 --- 谷本 貫造

2012年01月06日 09:05

目的を達成するには2つの方法が存在します
・欠点を克服し、目的を達成する
・長所を活かして、目的を達成する

この2つは、目的を達成していこうとする事に変わりはありませんが、手段が異なる事となります。


例をあげてみましょう。
サッカー部所属の高校生が、サッカー部の友達に勝ちたいと考えている時における2つの方法です。

A)よりサッカーを上手になって(欠点を克服して)、勝つ
B)勉強なら勝てる(長所を活かす)と、定義を変えることで、勝つ

従来の勝負の世界ではAが問われ、故に努力し克服する事が、競争において最も重要なことであると教えられます。

一方でBは、当初の定義(サッカーで勝ちたい)に対しては、まさに「負けたまま」であり、一向に欠点は克服されない事となります。故にこの定義を変えることで勝つ。というのは一般的な価値観では「逃げ」であり、負けている事となります。

では、少し視点を変えてみましょう。
ベンチャー企業(弱者)が、巨大企業(強者)に立ち向かおうとする時、巨大な相手に真正面から不足した戦力で戦うことは愚かである。という事については誰も異議は無いものと思います。

そこで弱者は考えます。発想転換し、その巨大な相手さえも勝てるものを産み出せないかを問い続けます。要するに、負けている部分に関しては「負けたまま」に放置し、自身の長所を活かして勝てる「定義」を探し求め続けるのです。同じ土俵で勝つのではなく「定義」を変えて勝つ。これは世の中では「イノベーション」とよばれ、現代ビジネスで最も推奨されている事の一つとなります。

という事で、勝つためには2つの手法が存在する事が解ります。

「この2つの両立は可能か?」

2つの方法がある場合、当然のことながら欠点を克服し長所も活かす。という両方が望ましい事となりますが、現実的にはこの2つを共に目指す事は可能でしょうか?

例をあげてみましょう。
先ほどのBのサッカーで勝つ必要はない。となれば欠点を克服する動機は失われ、克服力は低下してしまう事となります。一方で、定義を変えることは逃げである。とすると定義を変える発想力は育つことなく、イノベーション力をもたない人となっていくことでしょう。

故に、この両者は追求するほどに、どちらかに長けた人物となっていく事となり、両立は不可能となります。

「この2つの「違い」を知ることは、何の役に立つのか?」

例えば、現代の学校教育は社会で通用しない。と言われておる事の一つに、この「違い」への理解不足が見受けられます。学校教育では、定義を変える事は「逃げ」であり、言い訳として否定されます。しかし現代ビジネスでは、同じ土俵で勝つことよりも、「定義」を変えて勝つことが求められています。

今の日本社会でも「違い」への理解不足は見受けられます。家電メーカーなどを代表に、国内で同じようなものばかりを作り競争している中で、アップル社のような会社に「定義」を変えて来襲されると、従来企業は軒並みやられていく。このような現象は、家電だけでなく、様々にところで見受けられます。

これは日本の学校教育では、Aの方法しか教えられることがないために、考え方だけでなく、価値観さえも染まっていく事となり、このような学校教育で優秀な成績を収めるものが、大企業へと巣立っていくという現在のシステムでは、Aの価値観を持つ人ばかりが大企業に入社することとなり、Bの価値観や素養を持つ人を排してしまっている。故に、同じ土俵ばかりで戦うことしか能がなく、土俵(定義)を変えて戦うことの発想力が弱い。という事となっているのではないでしょうか

Aの優秀な人材ばかりが育てられ、Bの優秀な人材が生まれにくいという今の日本の状態こそが、日本の停滞の、真の原因となっているように思えるのです。

「AはダメでBが大事だという単純なものではありません」

2種類の方法を知ることで、どちらを選択すべきかを考えることが可能となります。状況が「有利」にある中において少しの努力で勝てるのであれば、Aを選ぶべきですし、状況が「不利」にある中においては、単なる努力だけで勝負する事以外も検討すべきなのです。

しかしAの価値観しか持たない人はBの考え方を「逃げ」であると認識してしまうと、Bを考える事はありません。「Bについても、考えていいんだ!」という選択肢を知ることで、視界が広がる事となるのです。

「欠点の克服」と「長所を活かす」、この2つの「違い」を知り、それぞれの強さと弱さを学び、常にその2つを選べる人になることが重要ではないでしょうか。

谷本 貫造
日本通信基盤整備事業株式会社 代表取締役


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