今回の白川日銀総裁講演内容から日本再生のシナリオを考えてみる

2012年01月12日 08:09

ブルームバーグが伝える所では、白川総裁は10日夜ロンドンでの講演で下記説明をしたとの事である。

白川総裁は10日夜(現地時間)行われたロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの行事で講演。「最後の貸し手」としての流動性供給の本質は「時間を買う」政策だと述べ、「時間を買うコストは着実に上昇する以上、その間に構造改革を進めることが重要」だと論じた。 白川総裁は「金融緩和政策の効果の源泉は、将来の需要を現在に手繰り寄せるか、海外の需要を自国に持ち込むかのいずれか」だが、前者については「次第に現在に持ち込むことができる需要が減ってくる」と指摘。後者についても「先進国全体が低成長の中では、ゼロサム・ゲームの色彩を帯びるようになり、世界経済全体の持続的成長という観点からすると、望ましくない」と述べた。


それでは、白川総裁が指摘する、「あるべき構造改革」とは一体如何なるものであろうか?

講演内容を読んで印象的な箇所は、日本のここ10年(2000-2010年)の就業者当たりの成長率は先進国で一番高く、総合と一人当たりが逆に一番低いという点である。

早い話、高校を卒業したばかりの若者から、定年まじかのお父さん迄、「日本の、現役世代は先進国で一番頑張っているのである」。

現役世代が「機関車」で、高齢者や子供達が乗客の「客車」を牽引するという図式がイメージとして判り易い。

問題は、高齢者数増加に依り、客車の数が増えた事。それから、客車乗務員(福祉担当の行政)が機関車の駆動力を考えず、サービス向上に努め過ぎ、結果、客車が重くなり機関車の負荷が増え過ぎたという事に尽きると思う。

仮にそうであれば、「日本再生のシナリオ」とは、機関車の駆動力を増すと共に、客車の負荷軽減に努めるという事に集約されるのではないだろうか?

具体的に考えてみる。

機関車の駆動力を増す為にやるべき事

先ず第一にやるべき事は、F1M1層の待遇を大幅に改善して、気持ち良く、活き活きと働いて貰う様にする事である。

何と言っても、今現在、冷遇され過ぎているのではないか?

その為には、日本型雇用の解体を確信で強調した、「同一職種、同一賃金」を前倒しで導入すべきである。

入社2年目のA君が、担当としてしっかり仕事をしているのであれば、現在300万円の年収を400万円に増額すべきだし、逆に担当の仕事しかしていないのに1,000万円を貰っている、B担当部長は400万円に減額すべきである。

これに加え、能力があり、実績を上げておれば、年齢に拘泥せず昇進さす事である。これにより、F1M1層の年収がテンポ良く上がって行く。

今一つ大事な点は、「正規」、「非正規」の垣根を取り払い、「同一職種、同一賃金」を徹底して実施する事である。これにより、就活に失敗したF1M1層に敗者復活の道が開ける事になる。

そもそも、「正規」、「非正規」社員間の差別がなくなれば、大学生が無理して正社員としての雇用を得る必要がなくなる。寧ろ大事な事は「希望する職種で、しっかりしたパーフォーマンスが出せるのか?」という事になり、就活の如きエネルギーと時間の浪費から解放される。結果、大学でしっかり勉強する様になるのではないだろうか?

基本的な考え方として、学生の「大学回帰」は良い事の筈である。

多分、これに猛烈に抵抗するのは、職員労働組合の様な組織、勢力だと思う。仕事はしない(やりたくない)、仕事をしない(能力的に出来ない)であっても馘首は以ての外。賃下げする位なら増税しろという主張で、戦後ここまでやって来た訳であるが、日本もそろそろ、戦後に終止符打つべきと、職労見てたらつくづく思う。

客車の負荷軽減の為にやるべき事

「社会保障と税の一体化改革」に就いて、消費税増税の是非ばかりが議論されているが、肝心の点は、高齢者向けの社会保障費に、どうやって大鉈を振るうのか? という事であると認識している。そして、白川日銀総裁が政治の責務といっているのも、実はこの点に就いて、将来への道筋を付けるよう促しているのではないか?

ちなみに、現役世代が先進国最高のパーフォーマンスを出しているにも拘らず、2012年度政府予算案によれば、一般会計は総額90兆3000億円、税収が42兆3000億円、国債(借金)は44兆2000億円であり、景気の底上げや、消費税増額による増収努力はするにしても社会保障費を減らしての一般会計総額の縮小は避けて通れない。

こんなイメージは如何であろうか?

客車を4つのカテゴリーに分けるのである。

第一は、61才~67才の年齢層を対象とする。このカテゴリーに続く高年齢層や若年層を乗客とする客車を牽引する訳ではないが、さりとて現役世代の機関車に牽引されている訳でもない。要は、客車として自立、自走しているという姿である。

この為には、67才迄働き続ける事を可能とする、何らかのスキルを身に着けるとか、現役時代にしっかり経済基盤を作る必要がある。兎に角、67才迄は年金の給付が無いのは当然として、現在高齢者が享受している恩恵は基本剥奪される事になる。

第二は、68才~72才を対象とする。このカテゴリーは自走の努力はするが、半分機関車に牽引されている状態である。年金は給付されるが、額は今よりずっと少なく、預貯金のない人間は働く必要が出てくる。医療費の自己負担等も今よりは多くなる。

第三は、73才以上を対象とする。このカテゴリーは基本自走の努力はせず、只管機関車に牽引される。しかしながら、負荷軽減の為、社会保障の多くは整理淘汰される。

最後は、若年層を対象とする。このカテゴリーは国が子育て支援を強化する事を明確にし、支出も拡大する。結果、懸案のF1M1層支援に繋げると良いと思う。

この記事は、白川日銀総裁講演内容からイメージしたものを、そのまま文章にしたもので、突っ込みどころは満載と思う。しかしながら、「社会保障と税の一体化改革」を連呼するよりは、具合的なイメージがあると思う。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役


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