ネットで弱った頭にテレビの劣悪番組が襲い掛かるという話

2012年01月24日 12:03

何らかの理由で免疫力の低下した体内に、鳥インフルエンザの如き凶暴なウイルスが侵入すれば、死は免れない。同様、弱った頭に劣悪番組が洪水の如く押し寄せれば、狂ってしまうに違いない。


こういう事を考えるに至ったのは、昨日のアゴラに掲載された二つの記事に接したからである。

先ずは、村井氏の記事である。

私の理解が間違いでなければ、ネットのサービスがどんどん便利になって、先手、先手で情報を提供してくれるので、結果人が考え無くなるという事だと思う。

まるで、大人といえどもこれでは揺り籠のなかの赤ん坊と同じである。

「情報弱者」と言われ続けた人間が、一念発起ネットを活用し始めたら、逆にネットに取り込まれ、結果思考能力喪失に至る様な、実に怖い話である。

そして、この話は、エセ科学者や自称ジャーナリストの「放射能怖い」的な、リアリティー不在の、性質の悪い「煽り」とは異なり、「事実」なのだと思う。

どうも、「ネットリテラシー」とはネットを上手に使いこなす事といった、コインの表面ばかりが強調されて来たように思う。これからは、記事が指摘するように、ネットの持ち込む情報を自分の頭で精査し、場合に依っては駄目出しする様な主体性が必要と思う。

学校で、ネットの使い方を教えるのと並行して、自分の頭で考え、生徒各々の考えをクラスで議論する様な経験を積ます必要がある。

次は、大西氏の記事である。

報道ステーションサンデーで山本太郎さんがでていたのには驚きました。しかもテレビ朝日はその一方的な主張を許してしまったのです。さらに政治家がそれになんら反論もせず、むしろおもねるような発言をしていたことにはさらに驚かされました。山本太郎さんご本人が、なんら科学的な根拠もなくとも、自らの思い込みを主張するのは自由ですが、マスコミが山本太郎さんの主張に反論できる人を同時に出さなければ、視聴者をミスリードしてしまいます。

記事の主張は尤もであるが、私の以前の記事で説明した通り、地上波はこういう事をしてでも、兎に角遮二無二「視聴率」を取りに行かねばならない断末魔に追い詰められていると思う。

しかしながら、新聞やテレビ(マスコミ)が綺麗ごとを言っていては干上がってしまう。生き残る為の手段は人工的にマスを作るしかない。一番簡単なのは、テレビで言えば人数の多い低レベルの視聴者に番組を合わせに行く事である。結果、質の良い視聴者が去るので、更に番組の質を落とし下の層を狙いに行く事になる。所謂、負のスパイラルである。次は、恐怖と言う普遍的な感情を利用し、例えば核汚染の恐怖を、ある事ない事で話を膨らませ国民全般に可能な限り広め、人工的にマスを作るのである。最後は、これも普遍的な感情である、憎悪を捏造でも何でも手段を選ばず世に出し、一気に広め、恐怖同様人工的にマスを作るのである。不適切発言が格好の材料である事は言うまでもない。特オチを恐れる他社は恐怖のあまり無条件に追随する。マスメデイアはこれ位しないと食っていけない所迄追い込まれているのではないか?正に崖っぷちである。

これに対し、名目的には、BPOが規制すべきであるが、機能不全で全く期待出来ない。

それでは、監督官庁の総務省に期待出来るかである。

思い出すのは、3年程前、地上波の中堅幹部から夕方呼び出しを受けた経験である。小奇麗なイタリアレストランに連れて行かれ、余程腹に据えかねていたのか、酒を飲みながら随分と愚痴を聞かされた。

総務省の中堅幹部に、役所の仕事に疲れたので暫くゆっくりしたい。就いてはお前の所(テレビ局)で然るべきポストを用意してくれないか?と冗談半分で頼まれたらしい。

こんな極めて癒着に近い関係では、真面な規制などとても期待出来ない。

結局、「政治」しか残されていない訳であるが、菅前首相がとどのつまりは、テレビカメラの前での「一発芸」、「瞬間芸」のみの、エセ政治家であった様に、閣僚含め、現在の国会議員は多分菅氏に五十歩百歩と思う。従って、劣化し、朽ち果てようとするテレビ番組を指を咥えて傍観するしかない。

矢張り、政治が変わらねばテレビ番組はちっとも良くならないという事であると思う。

昨日の記事、国会議員の仕事とは?、求められる資質とは?で説明した通り、次回の選挙では「一発芸」、「瞬間芸」のみの政治家は排除し、過去の実績、詰まりは任期中に何本の「法案」を国会に提出し、「通過率」が如何程かで判断すべきである。

ちなみに、菅前首相、野田現首相、そして現職閣僚の法案提出、通過実績を是非公開して貰いたいものである。

こういう努力を怠れば、日に日に便利になるネットにより、日本国民の頭は「空っぽ」になる。一方、この「空っぽ」の頭に対して、謂わば、手負いの地上波の劣悪番組が牙を剥いて襲いかかる。

余り見たくない光景である。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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