結局、ジャスミン革命は失敗するのか?

2012年01月29日 08:56

野口先生のブログがカイロ、タハリール広場でのムスリム同胞団と革命青年の小競り合いを報じている。

同胞団の参加者がいたことに、革命青年が「同胞団は革命を裏切った」として非難し、これら青年達と同胞団との間で、石や靴の投げ合いがあったが、死傷者は報告されていないと報じています。

去年の今頃は、ムスリム同胞団と革命青年達は共闘してムバラク政権打倒に動いていたのは記憶に新しい。革命青年達にとっては、全ての歯車が狂って逆回転を始め、それに苛立立ちを隠せないといった所ではないか?

この対立は激化するのであろうか?

そうは思はない!

革命青年達の両親や、子供の頃から随分と可愛がってくれた叔父さん、叔母さん、そして何かと世話になった、近所の大人達の殆どが敬虔なイスラム教徒であり、今回の選挙で大勝したムスリム同胞団の支持者である。

それ故に革命青年達は葛藤し、悩みのトンネルの出口は見えないのだと思う。

ジャスミン革命は連絡にフェイスブックが使用された事もあり、日本のネット論壇では随分と好意的に受け入れられたと思う。

しかしながら、その認識は「邪悪なアメリカの後ろ盾を得た独裁政権を、フェイスブックで連携した革命青年達が打倒す」といった様な実に稚拙なものであったと認識している。

ジャスミン革命から一年を経た今日、今少し頭を冷やし冷静に向き合うべきではないだろうか?

何故、中東は日本にとって重要なのか?

日本経済は、石油の供給が途絶えればショック死してしまう。そして、日本はこの石油の90%を中東に依存している。

その中東に日本は何をして来た?

中東の安定は偏にアメリカの軍事力によって維持されて来た。一方、日本は資金と技術力を活用し、サウジやUAEと言った産油国の周辺国であるエジプト、ヨルダン、イエメン等に経済協力を行い中東全体の安定化に大きく貢献した。結果、被援助国は当然として、サウジ等産油国での日本の好感度は高い。

ジャスミン革命の難しさの本質は?

ジャスミン革命の目指したものは、「独裁」による富の偏在にピリオドを打ち、「政治」と「経済」を近代化させ、「自由」で「透明性の高い」国作りであった筈である。

従って、日本を含む先進国は好ましい動きと評価し支援した。

勿論、「変化」を伴う「革新」は選挙という民主的プロセスにより行われる必要がある。そして、今の所権力を掌握するエジプト軍はやるべき事を適切に行っており、非難されるべき何物もない。

しかしながら、民主的な選挙の結果は、ムスリム同胞団を筆頭にイスラム宗教色の強い政党の圧勝であり、このままでは、エジプトは以前以上に宗教色の強い国になる可能性が高い。下手をすれば、イランの如きイスラム原理主義の国になるかも知れない。

「自由」、「政治と経済の近代化」を目指し多くの血を流した革命青年達に取っては、まさしく悪夢である。

そして、悪夢の背景は、彼らの両親や、可愛がってくれた叔父さん、叔母さんと言ったエジプトの「良心」、「良識」を支える「敬虔なイスラム教徒」であるという、二重の悪夢なのである。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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