イソップ物語からギリシャ問題を読み解く (続編)

2012年02月11日 13:34

読売新聞が伝える所では、案の定ギリシャが大変な事になっている。

ギリシャの官民2大労組は10日、政府・与党が受け入れた財政緊縮策に抗議するため、48時間のゼネストに突入し、首都アテネの国会議事堂前などで大規模デモを行った。ギリシャ議会は12日に緊縮策を承認する見通しだが、緊縮策に盛り込まれた最低賃金削減などに市民は強く反発している。デモでは一部過激派が投石し、警官隊が催涙弾で応じる衝突が起きた。警官たちに「メルケル(独首相)の犬め」「恥を知れ」などと食ってかかる一般市民も目につき、緊縮策への反感の高まりを印象づけた。若者の失業率がすでに48%に達するなか、デモに参加した女子大生バシリキ・パパダキさん(18)は「今回の緊縮策で不況が深刻化し、就職がさらに難しくなりそう」と訴えた。


12日に緊縮策が承認されるのは確実な情勢である。そうなれば暴動が起こるに違いない。ギリシャ国民同士が争い、血で血を洗う展開は避けられない。実に痛ましい話である。

私は11月に発表したイソップ物語からギリシャ問題を読み解くで今日を予測している。

さて、今後ギリシャの行く末である。ディズニー制作の短編映画の如くアリが食べ物を分けてあげる代わりにキリギリスがバイオリンを演奏するという大団円なのか、はたまた初期の物語の如く、アリから、「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだ?」と断られ、キリギリスは餓死する、ギリシャ悲劇の実演になるかである。私は後者の展開を予想している。但し、餓死以前に飢えた市民による暴動が発生する筈だ。その時、ギリシャ政府は治安維持の名目で市民に銃口を向けるのかどうかの厳しい選択を迫られる事になる。正に民主主義誕生の国で民主主義とは?が試される事になる。

それにしても、イソップ物語発祥の地であるギリシャが、何故かかる悲惨な事態に陥ってしまったかである。

これも過去の記事である、鞘取りが加速する世界経済を参照する。

世界の大都市圏で最も経済成長している10都市とは、中国の上海を筆頭に中国が5都市、他にトルコがイズミール、アンカラ、イスタンブールの3都市、サウディのリヤド2位、ジェッダが3位となっている。日本を含めた欧米先進国の都市は何れも低迷している。

何とギリシャの眼と鼻の先にあるトルコは経済絶好調でイズミール、アンカラ、イスタンブールの3都市が、世界の大都市圏で最も経済成長している10都市にランクインしている。

ギリシャとトルコの顕著な違いは、自国通貨を所持するか否かである。

景気が低迷すれば当然税収が減少し、結果財政が悪化する。これに対し、大幅な金融緩和を断行し併せ中央銀行が金利を下げれば通貨(ドラクマ)は切り下げられる。これに伴い輸出は活況となり、観光客も増加するので景気が良くなり税収も増え結果財政が改善する事になる。しかしながらユーロに留まる限り、ギリシャに取って明らかに割高な通貨(ユーロ)と、相変わらずインフレ警戒型の金融政策に両手両足を縛られ、結果緊縮財政を実行するしか手段が残されていない。

という事であれば、相当の出血はあるだろうが、ギリシャはユーロから離脱しない限り、何時まで経っても問題を解決出来ないのではないだろうか。

そもそもであるが、ドイツはギリシャの如き「キリギリス」のユーロ加盟を必要とした。為替安に誘導して輸出で稼ぐためにである。

Spiegelが伝える所では、太陽光発電を基軸とするドイツの電力政策は完全に破綻している。

結果、産業界と国民は極めて割高な電力料金を払わねばならない。

これを可能にするのが輸出の好調であり、その為のユーロ安は外せないマストである。

従って、ドイツとしては「キリギリス」に死なぬ程度の餌は与え続けるのであろうが、「キリギリス」は何時も空きっ腹を抱え、眠れぬ夜を過ごす事となる。

ギリシャ国民は一度冷静になり、自分たちの置かれた状況を見つめ、ユーロ離脱を考えるべき段階に来ているのではないだろうか?

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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