「りそな方式」の欺瞞

2012年02月21日 11:22

枝野経産相は「東電をりそな方式で処理する」と言っているが、次のような国会質疑をご記憶だろうか。

淺尾慶一郎(当時民主党)「経営者が多少の責任をとっただけで、従業員も株主も何ら責任をとらない。政府は『**は債務超過ではない』というが、**の決算資料では一株あたりの株主資本はマイナスとなっている。つまりは普通株で見れば、これは完全に債務超過だ」

竹中平蔵金融・経済財政担当相「マイナスになるのは事実だが、現実には[政府が]優先株を出資して、そこに資本として存在している。[100%減資は]株主自身が総会で特別決議しなければ行えないものであり、万が一強制した場合、憲法で認められた財産権の侵害という点で重大な支障が生じる」

淺尾「それでは8000億円投入している国民の財産権はどうなるのか


これは民主党のホームページに出ている2003年5月29日の参議院予算委員会の質疑で、文中の**はりそな銀行である。政府は債務超過になっていたりそなに優先株を出資し、それを合計すれば資産超過になっているという理由でりそなを国有化した。これは長銀や日債銀などの株式を100%減資して国有化したのとは異なり、債務超過の銀行の「救済」であり、不良債権処理の原則を破るものとして強い批判を浴びた。

**に東京電力を入れると、上の質疑はそのまま今国会でも使えるだろう。賠償債務を入れれば東電は債務超過なのに、賠償支援機構が交付国債で立て替えて東電は「資産超過」とし、株主責任をとらせないで資本注入を行なう民主党の手法は、当時の自民党と同じだ。しかも銀行には決済機能の外部性があるので国有化は正当化できる場合もあるが、電力会社を破綻処理しても取り付け騒ぎは起こらない。

東電を国有化して民主党が経営したら、今よりすばらしい会社になるかどうか、これまでの政権運営を見たらわかるだろう。かつての国有化でも10兆円以上の税金が浪費され、金融システムの改革が阻害されて日本の長期不況の原因になった。今回の資本注入も、東電の株主を救済して納税者に負担を押しつけ、エネルギー産業を破壊して日本経済に大きなダメージを与えるだろう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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