「二極化」のどっちが残るのか

2012年02月25日 00:39

辻さんの記事は、おっしゃる通りです。これは深刻な問題で、私も今までに何度も書きました。


これから成長するビジネスは、福祉・医療・介護などの国内サービス業しかない。それは労働生産性という点では製造業よりはるかに低いので、賃金は低下する。加えて労働人口が毎年1%ずつ減るので、「労働の二極化」は避けられない。これは私のブログでも書いたことです。

「小泉改革で格差が拡大した」などという話は笑止千万で、日本は世界的にみると格差がほとんど拡大していない稀な国です。アメリカでは上位1%の所得が20%を超える格差が問題になっていますが、日本では9%に過ぎない。むしろ最大の問題は、現在の60代以上と新生児で1億円以上の負担と受給の差がある世代間格差です。

そして今はまだはっきりしないサービス業の中の格差も、私が書いた通り、これから顕在化するでしょう。付加価値の高い労働者の賃金が上がる一方で、コモディタイズした居酒屋の労働者の賃金は新興国と均等化する。そして後者の比重が大きければ、日本の賃金は下がり、「デフレ」は止まらない。

では、付加価値の高いサービス業とは何か。それは最近までは金融とソフトウェアだと思われていましたが、前者はかなりあやしい。後者はたぶん正しいが、日本に世界に通用するソフトウェア技術者が何人いるでしょうか。普通に考えると、日本の労働者の賃金は全体として中国に近づいてゆくでしょう。問題は「二極」のうち、高いほうの極が国内にどれだけ残るかということですが、今のままではほとんど残らないと思います。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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