ミャンマーへの出遅れは許されない!

山口 巌

産経新聞が伝える所では、「ゴールドラッシュ」ならぬ「ミャンマーラッシュ」との事である。この地区の成長の果実の分け前にありつかぬ事には、日本経済は失速し、日本の街を歩いているのは老人と失業者ばかりになりかねない。それ故、ミャンマーへの出遅れは許されないと思うのである。

「日本はこの国に来て、調査ばかりしている。NATO(No Action Talk Only)と呼ばれているのを知っていますか? 言うだけで何もしないという意味です」ミャンマーの最大都市、ヤンゴン市内で会った地元ビジネスマンは、にが笑いした。長年、日本とのビジネスに関わってきたが、「FS(事業化調査)ばかり」でプロジェクトが進まない日本には、もううんざりと言わんばかりだ。ミャンマー国内は、欧米の経済制裁解除を見込み、ビジネス機会を探す人であふれかえっている。中国や韓国、シンガポール、タイといったアジア諸国に限らず、経済制裁を行っている欧州連合(EU)のドイツやフランス、過去の軍政に厳しい態度を見せてきた米英のビジネスマンも、虎視眈々(たんたん)と狙う。

何となくであるが、日本企業の様子が垣間見える。

すっかり自信を喪失してしまった日本の企業経営者達は、このままでは、ジリ貧、先細りと思い、人件費が格段に安いミャンマーに調査団を派遣しているのであろう。

しかしながら、安いには安い理由があるに決まっている。従って、何時まで経っても進出の決断が出来ない。

一方、日本以外の国は次々にトップダウンで進出を決断している。

背景は、トップの仕事が「決断」と「責任を取る事」であるからであろう。何時までも決めないで馘首されるよりは、決断してその責任を取る方が理に叶っている。

飽く迄私見であるが、21世紀の成長エンジンは中国河南地区とインドだと思っている。

そして、河南地区とハノイ近郊工業地区が一体化を進める現在、この二つの地区を結ぶのがメコン川を横断するインドシナ東西回廊である。

日本が今世紀も繁栄を継続したいのであれば、この地域を戦略的に押さえる必要がある

img01インドシナ

ミャンマーは近代化が遅れた分成長余力が大きい。

それ故、欧米、中国そして韓国の後塵を拝してはならないと思うのである。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役