日本企業は「捨てる勇気」を持て --- 岡本 裕明

2012年03月03日 08:00

外から見ていて日本の優れているところは追求心だと思います。究極の商品や製品、部品やアイディアを次々と生み出します。それだけ頑張っているにもかかわらず、最近は韓国勢に負けているという報道を良く耳にします。

直近ではエルピーダメモリ社の倒産も円高、製品価格の下落の結果、韓国勢との戦いに負けた、と言われています。ただ、韓国製品が価格優位であったのは10年ぐらい前まででその後はマーケティングで日本を圧倒しました。一方、日本企業は韓国とライバル意識を持ちすぎたきらいがあります。そして、韓国勢に出来ないものを突き詰めていった結果、確かに世界最高水準の○○が出来たことは事実です。しかし、それが企業の業績に結びつかないことには意味がありません。


身近な例では韓国のインスタントラーメン。大衆価格の袋入り即席めんで比べると日本勢はもはや一部ブランドを除きかなわないかもしれません。日本ではそれでも「バイジャパニーズ」でしょうけれど海外では圧倒的に押されています。

音楽もKポップの人気が上がっていますが、それ以上に売り込み上手だと思います。いつの間にか日本のポップス市場で十分な市場シェアを取り込んでいます。アジア市場でもKポップが市場を席巻しています。

捨てるノウハウ、残すノウハウ、これは日本企業にとって最も重要な岐路に立っているという意味でもあります。
日本は戦後、ずっと日本より先を行っていた欧米を主たる市場とし、自分達より上のレベルを行く人によりよいものを提供することで勝利の方程式を享受していました。

今、欧米市場から舞台はアジアなど新興国と呼ばれる国々に移ってきています。そこはある意味、日本を目指している国家であるのです。日本は高い付加価値をつけることを常識とし、過剰品質を作り続けました。それでも日本経済が上に向いているうちはよかったのですが、経済が一定水準で成熟化してくると落とし穴に落ち込むのです。

日本のテレビが何故苦戦したのでしょう? 海外で見ると明らかにマーケティングだと感じます。サムスンの販売戦略、デザインは明らかに欲しいと思わせるものでした。日本はその点、価格以外ほとんど無策でした。日本のニュースでは次々と新しい技術を紹介していますが、それがビジネスに繋がらないのであれば意味がないのです。

今日の日経のトップは日産のダットサンブランドの復活。そして、最廉価価格50万円程度の車を売り出すとのことです。これが正解なのです。日産という大企業が使い古された技術を組み合わせそれを必要とする市場に満足感を与えるわけです。ちなみにインドでスズキ自動車が成功したのもこの発想です。古い技術をいくらでも使うことで高い利益を確保するのです。

日本企業は最先端というイメージを求めすぎました。日産の場合はインフィニティという最上級ブランドを持つ中でダットサンという廉価版ブランドを新たに作ることで差別化を図ろうとしています。この戦略はホテルチェーン店によくあるパタンです。例えばスターウッドホテルという世界的ホテルチェーンはブランドを少なくとも9つもっています。ホテル顧客はブランドネームでホテルの格を判断する傾向にあります。だからこそ、きめ細かいブランディングは効果があるのです。

日産の廉価ブランド創設のアドバンテージとは苦戦するインド タタのナノに対抗できるということです。ナノは当初10万円自動車として発表され、今、25万円ぐらいまで上がっておりますが、販売が赤字で苦戦が続いています。理由は不具合が多いためとされています。一方、ダットサンが仮にその倍の価格であっても絶対安心な車を提供すれば市場は明らかに変わるのです。そして想像するにダットサンは完成された技術の商品を出してくるはずですからこれはまさにウィンーウィンのケースとなるはずなのです。

日本企業はもっと器用でなくてはいけません。極めることを善しとする文化が時として強すぎることもあります。私はバランスだと思います。その感覚を持たないとグローバル化の進むビジネス社会では生き残れないと思います。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年3月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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