負担の平行移動による財政再建を主張する人々

2012年03月29日 15:52

民主党の消費税増税の閣議決定を巡るゴタゴタに、外野にいる政治家から無責任な発言が目立ちます。 こういった発言は、控えて頂きたく、筆をとりました。

要するに、当事者である政治家が、財政再建に関して発言されるのであれば、きちんとしたスキームを示して語っていただきたい、単なる否定論の言いっ放しでは、無責任ではないか、ということです。


国から地方への平行移動

橋下大阪市長の「今のままで消費税率を上げてもアリ地獄状態からは抜け出せない – 2012年03月29日のツイート」をまず取り上げましょう。

橋下氏の主張は、今のままのシステムで増税しても、財政再建はできない、地方に財源を移譲しろ、そうすれば無駄は省ける、ということです。それが正しいかどうかは、置いておいて、この発言は責任ある発言と言えるのでしょうか。

まず、地方への財源移譲を実現するのに、一体、何年掛かると思っているのでしょうか? 今、そこにある課題を議論しているときに、何と無責任な発言ではないでしょうか。 馬鹿なことを言って欲しくない。 そして、私から質問したいのは次の3点です。 

(1)増税の責任を国から地方へ押し付けて、上手くゆくという根拠は何でしょうか? 

(2)無駄をメッタ切りするそうですが、どのくらい無駄が省けて財政再建にどの程度、貢献できるのでしょうか? 

(3)そして何より橋下さんの財政再建の青写真はどうなっているのでしょうか? 

仕組みを変えなきゃ駄目だ、という前に、今の仕組みのまま無駄を省くことは出来ないわけですか? 私は、「国のカタチを変える」というスローガンは、財政破綻が、このまま行けば10年以内にも起きるだろう日本には意味のあるスローガンではないと思います。

つまり、国のカタチを変える前に、あるいは国のカタチを変えながらの財政再建が必要だ、ということです。

恐らく橋下さんの構想のとおりに事が進んだとしても、「無駄を削減したけれど、お話にならない額しか出てきませんでした」となる可能性が非常に高く、その時までの時間のロスが大き過ぎて、財政破綻が避けられなくなっているのではないでしょうか? たとえ十分な額が出てこなくても、先に無駄を省かないと国民は納得しない、国民の説得のために無駄を省くのだ、という主張であっても、タイムスケジュールを意識しない発言は無責任でしょう。 

こういった懸念に応えるために、橋下さんは財政再建の数値の入った青写真を今すぐ示す責任があるのではないでしょうか。 これが今回の発言に対する責任の取り方というものでしょう。橋下さんに、アリ地獄からの抜け出し方を、是非、詳細に、ご説明願いたいと思います。 地方分権で、「信じられないほどの無駄が削減でき」、大して増税せずに財政再建できるなんてことは、あるのでしょうか? 

国民から企業への平行移動

次に田中康夫氏の「ああ会議は踊る消費税」を取り上げましょう。

田中康夫氏の主張は、外形標準課税により財政再建できるではないか、という主張です。精査していないので、これで、財政再建できるのかどうかは不明ですが、現在の低成長、国際競争の激化で、赤字に陥っている企業から多額の税金を集めることが、どんなに空想的なお話かは論を待たないところでしょう。 論評に値しない馬鹿げたお話ではないでしょうか。 負担を平行移動して誰かに押し付ければ、万事問題が解決するという馬鹿話です。

現在世代から将来世代への平行移動

最後に、江田けんじ氏 「財務省のマインドコントロール」を取り上げましょう。 「野田政権と国民を洗脳し、増税をたくらむ財務官僚の恐ろしい手口」という恐ろしげなサブタイトルも付いています。 「財務省の財政破綻/増税キャンペーンの嘘を暴く・・・③国債(借金)は将来世代、子や孫たちへのつけ回しか?」を見ても分かりますが、要するに国債発行は負担にならない、負担はいくらでも先送りできるということでしょう。 

「うーん、これが国会議員の書く本なのかね」というのが正直な感想です。財務省って、悪の組織なんでしょうか? いい加減にして下さい。

まとめ

以上3つの無責任発言を取り上げましたが、何れも、負担の平行移動をすることで、つまり負担を国から地方へ、国民から企業へ、現在世代から将来世代へ、平行移動することで、不思議なことに財政再建ができるという主張です。 

そんなわけないだろ! ポピュリズムもいい加減にしてください。

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